2022.11.015年間で42件の交通事故発生

交通事故多発の認定こども園建設予定地周辺国道382号線、交通量が理由か

 

 郷ノ浦町柳田地区で建設計画が進む「認定こども園建設予定地」周辺の国道382号線では、2018年から今年10月23日までの約5年間にかけて、42件の交通事故が起きていたことが当紙の調べでわかった。壱岐署によれば、うち2件が人身事故、40件が物損事故(死傷者がいない事故)だった。かねてから周辺住民は「周辺の道路は見通しが悪い坂道で、交通量も多く危険。今後も思わぬ事故が起きかねない」と不安視するが、数字に現れたことで現実味が増してきた。

 

 42件の交通事故が発生していた範囲は、郷ノ浦町田中触の郷ノ浦町側から柳田地区に向かう下り坂にあたるドラッグストアモリ郷ノ浦店前の道路から、約500㍍先のダイレックス壱岐店にかけての国道382号線。駐車場から車両が出入りする両店前の道路に集中している。

 年別では▽2018年、人身事故1件、物損事故14件▽2019年、人身事故0件、物損事故4件▽2020年、人身事故0件、物損事故6件▽2021年、人身事故1件、物損事故7件▽2022年10月23日まで、人身事故0件、物損事故9件。うち過去5年間で、ドラッグストアモリ郷ノ浦店周辺では計19件の交通事故が集中していた。

 直近の事故では19日午前9時30分ごろ、同店の駐車場から出ようとしていた車両と、郷ノ浦町方面から柳田地区方面へと下り坂を走る車両が接触事故(物損事故)を起こしている。事故の原因は、交通量の多さと下り坂により速度が上がること、カーブによる見通しの悪さなどが考えられる。認定こども園建設予定地前の道路も状況が似通っていることから、交通事故多発となる危険性がありそうだ。

 当紙の取材に対し壱岐署交通課は「ドラッグストアモリからダイレックスまでの区間は、市内各所と比較しても事故発生率が高い。交通量の多さと事故の多さは比例するもの」とコメントした。

 同園建設計画が始まって以降、周辺住民は「朝夕の通勤時の交通量は特に増え、それに伴い危険度も増す。周辺道路は同園建設計画が上がる以前から危ないと言われてきた。車同士の接触事故や人身事故も多数見てきた。子どもの安全を考えれば不安しかない。周辺住民を対象とした説明会もない」などと述べている。

 「認定こども園の建設場所に反対する署名」の活動を続ける「壱岐のこどもの健やかな育ちを守る会」(山内裕司、割石賢明共同代表)は、同地が土砂災害特別警戒区域に隣接することの危険性とともに「交通量の激しい国道の急なカーブで事故多発地区。子どもの健やかな育ちを守るためにも、ぜひ建設場所の変更を希望する」と訴え続けていた。

 さらに同団体共同代表らは「園の前は交通量の多い国道であり、事故が起こりそうな場所に設立するのは反対。お迎えの際、子供が車道側に走り出たり、園内で遊ぶ園児が走り出して国道に飛び出ることも考えられるのでは」とし、「死亡事故が起こった場合、誰が責任を取るのか」と問題提起の声を上げた。

 同園の建設計画を進める社会福祉法人北串会(雲仙市)は今月上旬に発行した入所説明会案内のチラシで、「国道沿いにカーブミラーやガードパイプの設置」を計画しているという。同園が交通量が多い国道沿いになることを認めた上の計画案だ。

 今回の取材で、過去5年間の事故件数の多さがデータで示された。無論、それ以前にも事故は多発している。土砂災害の場合、事前に察知して被害の回避ができる可能性もあるが、交通事故は突発的に発生することが多い。

 同会は11月6日に壱岐の島ホールで保護者説明会を開催する予定だ。事故件数の多さが示された今、子ども達の安心安全についてどのように考え対策していくのか、今一度示してもらいたい。