2020.9.152225人が自主避難

台風10号、最大瞬間風速40・6㍍、最大時6765世帯が停電

 

 大型で非常に強い台風10号は、6日午前から鹿児島県の奄美地方や種子島・屋久島地方の一部を暴風域に巻き込みながら北上し、6日夜から7日未明にかけて、本市西側沖を通過した。気象庁は「これまでに経験のない大雨と強風に最大限の警戒を」と強く呼びかけた。本市を通過した時点での中心気圧は945ヘクトパスカル、中心付近の最大風速は45㍍、最大瞬間風速は7日の午前6時25分に40・6㍍を観測した(石田観測所)。6日午後5時には、本市全域の11683世帯と全市民26099人に避難指示が発令された。強風による停電は7日早朝の最大時で6765世帯。けが人の報告はない。

 

 台風による被害は全島に及んでいる。石田町久喜触では、湾内の防波堤が崩れ落ち、先端部分が土台から傾斜した。芦辺港では、ジェットフォイル搭乗口の浮き桟橋をつなぐ通路が崩れ落ちた。勝本芦辺線から壱岐商業高校方面に向かう道路の一部など、各所で倒木が道路をふさぎ、通行に支障が出た。

 家屋への被害も相次ぎ、郷ノ浦町の初山では、ゴルフ場施設の屋根が吹き飛ぶなど建物が損壊した。さらに、7日午前5時前後から、強風による停電が全島で発生。光ケーブルの断線などからテレビやインターネットがつながらないなど通信にも影響が及んだ。台風が過ぎ去った7日、308件の断線があり、市ケーブルテレビ施設指定管理者の光ネットワーク(株)壱岐支店による復旧作業が進められた。

 

2225人もの市民が押し寄せた避難所

 台風10号の接近に伴い、市は6日午前9時から自主避難所を開設した。避難所には多くの市民が殺到し、郷ノ浦町763人、勝本町489人、芦辺町501人、石田町472人、計1199世帯2225人が避難した。

 町別の避難所は、郷ノ浦町は「壱岐の島ホール、渡良地区公民館、柳田地区公民館、志原地区公民館、沼津地区公民館、沼津小学校体育館、郷ノ浦町デイサービスセンター、大谷公園体育館」の8か所。勝本町は「勝本地区公民館、市役所勝本庁舎、壱岐西部開発総合センター、ふれあいセンターかざはや、湯本地区公民館、布気地区老人憩いの家」の6か所。芦辺町は「市役所芦辺庁舎、那賀地区公民館、箱崎僻地保健福祉館、箱崎地区公民館、クオリティーライフセンターつばさ、田河小学校体育館、芦辺小学校体育館」の7か所。石田町は「石田農村環境改善センター、石田スポーツセンター、筒城地区公民館、久喜地区住民センター」の4か所で、市内全域で計25か所の開設となり、通常の台風時よりも増設した。また、一部の公民館なども避難所として開放し、対応した。

 各避難所には、開設が始まった午前9時から多くの市民が押し寄せ、壱岐の島ホールなど夕方以降は満員状態になった場所もあり、市民は危機感を募らせた。また、避難所の駐車場が満車だったことから、中に入ることができずに自宅へ戻らざるを得ない避難者が続出するなど、現地は混乱をきたした。

 避難した郷ノ浦町の男性は「多くの人が避難所にいることからコロナ感染の恐怖もあり、混雑した避難所に向かうことに抵抗があった。しかし、目前の危機には変えられない」と不安を漏らした。避難所では感染リスクを抑えるための避難者同士の間隔を設けていたが、想定を超えた避難者の数に今後の課題を残すことになった。一部の市民は旅館などに向かい、満室の宿もあった。

 

量販店で懐中電灯などが消えた。災害に備え買出し殺到

 台風接近に伴う5日以降、迫りくる台風に備えてスーパーや量販店の商品の一部が品切れ状態となった。

 量販店や百円ショップなどでは、懐中電灯や電池、ガムテープ、カセットコンロなど災害時に必要となる品が陳列棚から消えた。