2025.9.08黒字と基金93億円「健全な財政」を強調

令和6年度決算と財政健全化判断比率を公表、現在の財政は安全圏内

 

 市議会9月会議の議案や報告事項が公表された1日、篠原一生市長は記者を対象とした定例会見を開いた。市は、令和6年度の決算と財政状況を客観的に示した財政健全化判断比率を公表し、篠原市長は「現在、本市の財政は健全な状況にある」と強調した。歳入総額は約246億円、歳出総額は約236億円、7年度へ繰り越す財源を差し引いた実質収支額は約7億円だった。財政に余裕があるときに積み立てておく、市の貯金とも言える財政調整基金や減債基金などの基金状況は合計で約93億円。単年度収支は黒字で健全化指標も良好、財源の余裕もあることから、本市の財政は健全であることがわかった。

 

 市が公表した健全化判断比率では、財政状況の悪化度合いを表す「実質赤字比率」と「連結実質赤字比率」で、両方とも赤字はなかった。

 財政の健全度を示す指標の一つで、財政規模に対し借金(地方債)の元利返済額や経費がどのくらいの割合を占めるかを示す「実質公債費比率」。数値が低いほど健全とされ、実質公債費比率が25㌫以上となると早期健全化団体、35㌫以上となると財政再生団体に該当される。本市の場合、8・3㌫と極めて低い。

 将来にわたって負担する実質的な地方債、公営企業への負担などの負債が、標準的な財政規模と比べてどの程度あるかを示す「将来負担比率」。350㌫を超えると、財政健全化計画の策定が必要になるとされるが、本市は22㌫と安全圏内にある。

 現在、安全圏内にある財政状況だが、将来的な予測の上で懸念される事項もある。実質公債費比率が8・3㌫と低めだが、今後の大型事業や人口減少による税収減で上昇する可能性がある。将来負担比率も22㌫と低いが、今後も老朽化が課題となる上下水道や公共施設などのインフラ老朽化更新費、少子高齢化で増える社会保障費などにより、将来的にあがる可能性がある。さらに、人口減少が続いた場合、現在の財源は健全であっても、10数年後に税収減少と扶助費増加が重なると厳しくなる可能性が考えられる。

 短期的に見れば、財政は黒字で基金もあり、健全な自治体と言えるが、中長期的な視点では、人口減少や高齢化、インフラ更新の「三重苦」により、財政悪化のリスクも伴う。

 懸念事項についての記者の質問に対し、篠原市長は「老朽化のインフラ整備は更新の時期のものもある。同時に更新は厳しいので、長期的なスパンで取り組まねばならない。税収については、人口減少の歯止めはもとより、ふるさと納税などにも力を入れる。10年後以降を見据え、計画的に進めていく。そのために、健全な財政と基金の積み立てを維持していく」と答えた。