2024.12.10福岡市にある市所有地活用の公募に島内外から4社が応募、ホテル業を視野に
市は先月27日、福岡市博多区築港本町にある市所有の土地活用で、芦辺町の建設業「なかはら」が優先交渉権者に決定したことを公表した。公募には島外の不動産やマンション経営事業者など計4社が応募していた。優先交渉権を得た「なかはら」の提案によると、ホテル事業になりそうだ。過去には、旧壱岐人会(現福岡壱岐の会)などから「島民と出身者が福岡市で集える場の建設を」と言った要望もあったが、実現せず土地だけが残った。長期にわたり駐車場貸し付けの活用に、市議会では「市に有効な利益をもたらすような活用を」などの意見が上がっていた。
旧壱岐対馬会館建設予定跡地利用(福岡市博多区)
「なかはら」が優先交渉権者に
市は、7月1日から市公式ウェブサイトを通じて、市有地の有効活用のため、福岡市博多区築港本町にある旧壱岐対馬会館建設予定地を貸し付ける事業者を募集した。民間事業者から提案を求める公募型プロポーザルに島内外4社が名乗りをあげ、ホテル事業を提案した「なかはら」が優先交渉権を得た。
先月25日にプレゼンテーションがあり、わずか2日後の同月27日にプロポーザル審査の結果が出た。通常であれば審査期間に1週間から10日ほどかかる場合が多い中、今回の異例とも思える早さに、市担当課は「特別な理由はない。精査などの時間が早かったため」と答えた。
貸付料の最低額は月額25万円、年額では300万円。契約期間は現在のところ未定で、話し合いによって決められていく。再評価は契約締結後から3年程度ごとに改定していく予定だ。
事業用地は、福岡市博多区築港本町84番15(685・65平方㍍)、築港本町84番17(120・27平方㍍)の計805・92平方㍍。同地は1978年に郷ノ浦町、勝本町、芦辺町、石田町の旧4町で取得し、市政合併以降の現在まで本市が引き継いだ。現状は福岡国際センターなどの催事の駐車スペースなどに使用している以外、常時利用はなかった。市政合併前は、壱岐対馬会館建設予定地とされ、島民や島外出身者などの集いのスペースとして活用する案もあった。
今回、本市は借地借家法の規定に基づく定期借地権の設定などを含めた土地活用に取り組むことを目的として、福岡市内での壱岐市民の利便性向上や観光客の誘致などの恒常的な歳入確保を図るため、公募型プロポーザル方式により事業者を募った。市は、提案内容を総合的に判断し、もっとも優れた企画提案を行った事業者に同地の貸し付けすることにしている。
審査基準は「事業の目的、土地利活用のコンセプトが、取得経過に沿った内容となっているか」「利用者の安全安心及び利便性に配慮しているか」「壱岐市民にとって有用となる具体的な提案があるか」「市にとって有用となる取り組みやSDGsへの関わりある取り組みの提案があるか」など、地域貢献に沿う内容が示された。
募集要項等の公表は7月に始まり、8月23日に参加表明書などの提出期限としていた。提案内容などに関するプレゼンテーションやヒアリングを行う審査委員会を10月中旬ごろ。優先交渉権者などの決定は同月下旬の予定だった。今後の予定では、契約の締結に進み、敷地の引渡しとなる。
昨年の市議会6月会議一般質問で、武原由里子議員は「廃止した公共施設を含む遊休不動産の活用について。福岡市博多区築港本町にある市所有、壱岐対馬会館用地の活用をどう考えているか」と問い、市は「市内で利活用可能な施設は、誘致企業や民間への貸し出しをしており、今後も利活用や払い下げを進める。現在は駐車場利用となっているが、市の財源確保に向けた活用を検討する」と答えていた。