2021.10.12白川市長による入札指名外し民事訴訟結審、判決は3か月後
平成28年4月の市長選で、相手陣営を応援したとして「信頼を損なった」などを理由に、特定の建設業者を入札指名から除外した白川博一市長に対しての民事訴訟が5日、結審を迎えた。白川市長は法廷に出席し、選挙と指名外しの関連はないと訴えた。今回ですべての弁論を終え、来年1月に判決を迎える。
長崎地裁で白川市長、眞弓氏の両氏が法廷に出席し、最終の口頭弁論を終えた。来年1月に判決を迎え、約6年にわたる争いに終止符が打たれる。
平成28年4月の市長選で、白川市長は相手陣営を応援した株式会社壱岐産業の眞弓倉夫社長に対し「信頼関係を損なった」として入札指名外しをした。眞弓氏は処分について「正当な理由がなく、市側の明確な理由説明もない」とし、訴訟に踏み切った。
平成28年12月、白川市長に対する公務員職権濫用罪での刑事告訴を長崎地方検察庁に提出、翌年1月に受理。しかし、平成30年6月、地検は「起訴に至るまでの証拠が不十分」とし不起訴とした。平成31年2月、眞弓氏は民事訴訟に踏み切った。
この問題は当時の市議会でも議論が起き、議員の質疑に対して白川市長は「係争中であり今は語れない。司法が終えたら自ら説明する」と述べていた。すべての裁判を終え、指名外しの経緯や理由など、市長自らの言葉による説明が待たれる。
訴訟に至る経緯は、平成28年4月に行われた市長選にさかのぼる。市長選では、白川市長を含む3陣営が立候補し三つ巴の選挙戦を繰り広げた。その時に白川陣営と敵対する候補者を前面に立ち応援したのが眞弓氏だった。
選挙後の同年4月12日と14日、市内4件の土木工事入札が告知された。当初は同社も工事の指名業者として選定されていたが、4月22日に4件の競争入札は中止となり、5月6日に建設工事の指名審査委員会が開催。3件は指名競争入札となり、1件は制限付き一般競争入札とされた。しかし3件の指名競争入札から同社は外され、1件の制限付き一般競争入札の参加も外されていた。
入札執行通知が来ないことを不審に思った眞弓氏は市財政課に問い合わせ、当時の副市長と総務部長に面会を求めた。副市長の話では「選挙戦で白川陣営の反対側に立ったことから、信頼関係を失った。よって入札から外したと聞いている」と説明した。その後、事実確認のために同年5月18日に白川市長と面会。理由を問うたところ、同様の回答を受けたという。
市側は入札指名の審査基準第3条5項「その他市長が受注者として不適当であると認めるときは、指名しないものとする」に基づいたことも理由とした。影響は同社の経営に及び、15人の社員を解雇、また同年7月末に廃業を決めた。
※尋問内容などは次号に掲載。