2025.9.01有人国境離島法、法の改正・延長を求め大石知事と県内離島の市町長らが国へ要望

「離島の無人化を防ぐ支援が不可欠」

 

 国境に近い離島の無人化を防ぎ地域社会を維持するため、有人国境離島法は2027年3月末を期限とする10年間の時限立法として、2017年4月1日から施行された。約2年後に期限を迎えるのを前に、大石賢吾知事や篠原一生市長、県内離島の市町長らは22日、坂井学内閣府特命担当相(防災・海洋政策)と面談し、改正と延長を要望した。外間雅広県議会議長や金子容三衆院議員、山本啓介参院議員も同席した。要望では、主に雇用創出や移住増加など法施行の成果を強調し、大石知事は「同法がなければ人口減少は加速し、無人化する離島が増えることになる」と訴えた。坂井担当相は「有用性を認めてもらえるよう取り組みたい」と応じた。

 

 有人国境離島法(国境離島新法)は、「日本の国境に位置する有人国境離島地域の保全、および特定有人国境離島地域における地域社会の維持を図るための特別措置を定めた法律。国境に接する有人離島に継続して人が住み続けられるよう支援することで、国の領海や排他的経済水域の保全に寄与することを目的とする」とされている。国境離島地域から人口が減少し無人島になることを防ぎ、地域社会を維持できるようにすることを目指す法だ。

 同法により、島民の交通費負担軽減のため航路航空路の運賃低廉化、農水産物の出荷や原材料の輸送コストの軽減、島の観光資源を生かした滞在型観光の促進を支援、島での雇用を増やし、地域に人を呼び込むための支援など離島民にとってのメリットは多い。

 本土から遠く人口減が著しい特定有人国境離島地域に指定されている本県の離島は、本市を含め、対馬市、五島列島の3地域で、5市2町、40島が対象になる。同法施行後の8年間で890件の創業・事業拡大を採択し、1658人の雇用を創出。移住者の増加など地域社会の維持に成果が現れているという。

 一方で、「進学や就職に伴う若者の転出、自然減の拡大に伴う人口減少が本土地域以上に進んでおり、将来的に無人化する離島が増える」と懸念を伝えた。

 このことから、「継続的に居住が可能となるよう環境整備を図ることで、地域社会を維持していくとともに、領海などの保全に関する活動の拠点として極めて重要な機能を維持していくためには、国による特別な支援が不可欠」とし、法の改正と延長を主張した。

 知事らは自民党の議員連盟、公明党代表、内閣官房副長官、国土交通省事務次官にも要望した。

 

要望の3項目

①令和9年3月末に期限を迎える有人国境離島法を地域の実情や現下の社会経済状況に即して改正し、確実に延長すること

②特定有人国境離島地域社会維持交付金等の関連施策について支援制度の充実を図るとともに、必要な予算を確保すること

③有人国境離島地域の保全に向けて、港湾等の整備を促進するとともに、国の行政機関の設置について、特に海上保安部及び自衛隊の部隊の体制強化や増員を図ること