2024.4.09市議補選出馬予定者に聴く

市議補選、4つの質問で出馬理由や人物像を見る

 

 14日投開票の市議会議員補欠選挙に向け、候補予定者に出馬理由や公約などについての話を聴いた。現在、市議会の定数は16人だが欠員2議席の14人で議会運営を続けている。そのため、市長選と同時期に定数に対して2議席の空席を埋めるために、選挙が行われる。

 市議補選の候補予定者には、4つの同じ質問を投げかけ、思うままに回答してもらった。質問内容は次にある通り。(掲載は取材順)

※インタビューは市議補選出馬予定者の全員を対象としていますが、取材期間中に連絡が付かなかった候補予定者は取材ができなかったため、掲載していません。

 

質問事項

①市議になろうと思った動機、理由は。

②市政では何がしたいか。(主な公約など)

③市議として自身ができることや自信があることは何か。

④性格は。座右の銘があれば聞きたい。

 

「今、この島を変えねば」中山忠治さん(76・無所属)

 

①今、この島を変えねばダメになってしまう。チーム防人でのボランティア活動の17年間で、環境問題や観光問題のノウハウを得た。それを今、生かさないと島が廃れてしまう。そのために市政に提言し、物言う立場にならねばと考えた。

②まず手を付けたいのは観光の活性化。五島市の成功例を見てきたが、本市も観光素材面では決して負けてはいない。隣には人口160万人の福岡市がある。観光の再生ができる土壌はそろっている。

③ジェットフォイルの故障などで見えた航路の不安。思い切って三胴船トリマランを導入し、安全安心な島民の足と、福岡市を通勤圏内にすること。そうなれば、空き家対策も移住対策もすべて解決する。経済効果も計り知れない。九州郵船だけでは難しいが、本市からの国会議員や県議会議員の政治力とともに動けば可能だと思う。

 もう一つは議員報酬の3割カット。そのような他離島の議会も見てきた。本市は官民格差がひどい。自分の身を削る覚悟が必要だ。その分、議員定数は増やしたい。有権者の代表が議員であり、議員がきちんと仕事をしていればその分、やるべき仕事はあるはずだ。

④座右の銘は「人生は現実である。人生は熱意である」。言ったからにはやる、これと思ったら自分の全力を尽くす。

 

「市民の声を議会に」山本泰久さん(39・立憲)

 

①かつて、市ケーブルテレビや新聞記者の立場で市政を見てきた。取材を通じて市民の声を聞く機会が多かったが、市民の「困っている」などの声が市政に届いていないと実感した。そのような声を市政、市議会に届けていくことが必要だと感じた。

②市民の生活改革を進めたい。政策の一つに「道つくり」の改革を掲げたが、現在、公民館や住民の負担が大きいと思う。予算はかかるが、他市などは事業者に任せているところもある。人が少ない地域では道つくりは重労働になるので、不公平感も生まれる。市民負担の軽減の一つとして道路整備は考えていかなければならない政策だ。

③議員は、市民の代弁者であり議会での代表者だ。市民の声を、一般質問できちんと届けるということ、新聞記者の経験から、予算書の見方もある程度わかる。どのような使われ方なのか、鋭く目を光らせチェックできることが強み。

④性格は、相手の意見をきちんと受け入れて議論をすることができる。自分の意見一辺倒ではなくて、相手の意見をきちんと受け入れ、その上で冷静に話ができると思う。

 最近、気に入っている言葉に、五木ひろしさんの歌、「山河」の歌詞にある「顧みて 恥じることない 足跡を山に 残したろうか」。恥ずかしくない人生や行動をしていきたいという意味。

 

「生の声を届けたい」山内豊さん(48・無所属)

 

①子育て現役世代であり、島で4代続く壱岐の島せんぺいの作り手、商工会理事など観光業にも携わる。当事者だからこそ集まるリアルな声を市政に届けたいと決意した。

②政治は未来を作るものだと思っている。私たち大人が基盤を整え、子どもたちにバトンを渡すべきだ。島を離れても戻ってきたいと思える『ふるさと』、そして世界と勝負できる環境を作りたい。子どもたちに夢のある島だと思ってもらえるよう力を尽くしたい。

 また、第一次産業はもちろんだが、観光産業が今後ますます重要になる。観光客の安全確保に加え、人手不足や後継者問題で豆腐や醤油といった壱岐ブランドの廃業が続いているので、事業継承の仕組みなどを作りたい。同じく壱岐の目玉になるのはスポーツ合宿誘致だ。体育館のエアコン設置などスポーツ環境の整備などにも力を入れたい。

③子育て環境改善への提案はすぐにでもできる。観光産業に対する施策にも現場から意見することができる。

④慎重派で筋道が立たないと納得できない。市の監査委員も経験し、お金の無駄があれば指摘する。商人らしく「もったいない精神」がある。

 「情理を尽くす」。人の気持ちをくみ取りながら、筋道をしっかり立てて進めるのが私の信念。選挙に向けて焦る気持ちはあるが、家族との時間に癒される。「お父さんがんばって」と励ましてくれるのが何よりうれしい。

 

「正しい議会運営に」松本順子さん(57・無所属)

 

①市議として私にできることがあればとの思いで決意した。Iターン者や外国人、離島留学など移住者促進を進めている行政だが、最近の本市を見た場合、管理や確認が足りない。そのために、悲しい事件も起きた。今後は、外国人による不動産の取得なども考えられ、議会によるチェックは必要。

②「食べることは生きること。生きることは食べること」。公約に掲げたが、農漁業を営む人を大切にしながら、市民が食べていけるような施策を考えていかなければならない。そのための財政運営になるようにしたい。

 前々回の市長選を見て、この小さな島で理不尽な政治があることを知り、ショックだった。この島には、小さな永田町があるように見える。

③市議会は、結局のところ数(採択数)で決まる。イルカパークのイルカ新規購入や離島留学の見直しなど、どんなに正しいと思っても少数派の意見は通らない。本来、議員定数は削減すべきとの考えがあり、今回の市議補選の出馬も自分の考えに反していたが、空いた議席に意見を言わない議員が座ることも良いとは思わない。だから、自分も声を上げて立ちあがろうと思った。本音を言えば、今回の補選は必要ないとも思っている。

④「誠実」は自分自身の中で持ち続けている言葉。高校生のころから「誠」という字の意味が好きで、人として誠実でありたいと思っている。

 

「議員として走り続けたい」久保田恒憲さん(73・無所属)

 

①前回の市議選では悔しさが残った。負けたことではなく、やり残していることがまだまだあったからだ。市議時代は企業や組織のトップに直接話をつけて進めることが多かったが、それができたのは議員という肩書が大きかった。議員という立場でしかできないことがある。出馬にこだわる理由はそこにある。

②高齢化社会で誰もが安心して生活できるような手立てを作りたい。以前、市老人クラブのボランティア活動で高齢者世帯を回った。一軒一軒、顔を見て話したが不安を抱えている人が多く、事態は深刻だと痛感した。反面、介護予防事業では元気な高齢者に多く出会った。

 そこで、両者をつなぐことはできないかと考えている。支援をされる側は不安が解消され、支援する人にもやりがいができる。若者が少ないならば、地域に今いる人で解決できないか。地域課題解決のためには元気な高齢者が果たす役割が大きいと思う。

③約50年前に本市に空手団体を立ち上げた時に組織作りを手探りで学んだ。市議時代も自分の目と耳と足で情報を集め、フットワークも軽く取り組んだ。積み重ねた実績が強みになっていると思う。

④道なき道に道を作るのが得意。先頭を走るものは抵抗も大きいが、一番いい景色を見ることができる。後に続く人のために自分が切り開くという意志を持ち続けている。

 

 欠員2の理由は、鵜瀬和博県議が県議会議員補欠選挙に出馬のため、2022年6月23日に市議を辞職。森俊介氏は1月15日、今回の市長選出馬を目指すために市議を辞職した。