2020.6.23壱岐葬斎場解体や外構整備など3件の予算事故繰り越しが発生
市は、市議会定例会6月会議での報告事項で、令和元年度の市一般会計予算から3件の事業費について、事故繰り越しとして翌年度の予算に組み込むことを説明した。同時に3件の事故繰り越しが発生したことに対して、中田恭一議員は「この1年ほどで2回も起きている。しかも今回は同時に3件だ。事故繰り越しを簡単に出すような行政運営でいいのか」と憤った。審査指名委員会委員長を務める眞鍋陽晃副市長は「残念な事態だ。改めて指導を徹底していく」。白川博一市長は「業者の体質について厳しく求めていく」とし、遅れに伴う損害金の請求と、審査指名委員会で厳正な処分を課すことを示した。
市一般会計予算から事業費を事故繰り越しとして翌年度に予算の繰り越しをするのは3件。特に問題となるのは、保健衛生費で345万4千円の事故繰り越しとなった旧壱岐葬斎場の解体と外構整備にかかる事業費だ。
市の説明では、同事業は昨年11月7日から3月5日の完成まで120日間で契約締結している。しかし、11月末に着工の遅れがわかり、市は履行期間を守るよう指示した。その後、2月10日の時点になっても工事の遅れが改善されていなかったため期日までの成果品の提出を求め、2月28日に解体工事分、3月9日に外構整備分の成果品を受理したが、設計内容の精度が悪いために市は修正の依頼を求めた。
5月21日に解体工事分の設計書を受領、しかし、その段階でも不備があるため、再度修正を依頼した。6月10日、解体工事分の設計書の再々提出となるが、その内容にも一部修正があり、再び同月12日に受理した。一方、外構整備分は同月24日までかかるとの回答だった。市は進捗状況を確認し、工事業者へ指導を行なったが、結果的に年度をまたぐことになり、事故繰り越しせざるを得ない状況となったようだ。
中田議員は「事故と言うからにはよほどの理由がない限り事故繰り越しはできないのでは。簡単な理由でできるのか。事故繰り越しの定義は何か」と質問し、財政課長は「地方自治法第220条第3項で、『歳出予算の経費の金額のうち、年度内に支出負担行為をし、避けがたい事故のため年度内に支出を終わらなかったもの』とされる。避けがたい事故とは、暴風、洪水などの自然現象、地権者の死亡、工事中の崩落事故による中断など」とし、今回のように、受注者が契約を履行しない場合も含まれることを説明した。
中田議員は「前回、三島(長島)の工事での事故繰り越しの時、市長は『二度とこのようなことがないように』と言った。今回は3件の事故繰り越しと増えている。このようなことでいいのか。行政として恥ずかしくはないのか」と指摘した。眞鍋副市長は「日頃から業者に対し、発注時に厳正な工期を守るように指導しているが、残念ながら今回のような事態が起きた。改めて指導を徹底していく」とし、白川市長は「言われるように恥ずかしい事態だ。指導だけでは済まされない。確認をして再三に渡るミスが発覚するとはプロの仕事としてどうなのか。業者の体質についても厳しく求めていく」と謝罪の弁を述べた。
しかし、中田議員は「今回は議会への報告として提出されているのでやむを得ないが、認定であれば絶対に認めない。工期を守るために必死に工事をしている他の事業者は良い気持ちではないはず。1年間に4件もの事故繰り越しをする自治体などない」と厳しい口調で意見した。
他には総務管理費で、自治体情報セキュリティ強化対策事業の328万8千円と、情報システム運営等事業の1億1362万1200円の繰り越しで、いずれも新型コロナウイルス感染症の影響に伴い、製造メーカーの工場稼働停止による機器納品がストップしたことによるもの。また、社会福祉費として認知症グループホーム整備事業で4317万8千円の繰り越しで、着工当初の悪天候で基礎工事が遅れ、コロナの影響による住宅設備など部品類の納期に遅れが生じたことなどを理由とした。