2025.5.20壱岐出会いの村施設、売却か賃貸の考えが浮上
郷ノ浦町の「壱岐出会いの村」施設の売却か、民間事業者への賃貸の考えがあることが地域住民からの情報でわかった。市は先月24日、同町新田触公民館の集まりで、出会いの村を活用したいという民間事業者がいることを住民に伝えた。活用に伴い同施設周辺道路3か所を閉鎖する可能性があることから「意見を聞かせてもらいたい」と地域住民に考えを求めた。同施設周辺道路は、生活や農作業などに活用しているため、突然の話に地域住民は騒然とした。市は「あくまでも住民の意見が優先」とするが、水面下の動きに地域住民からは不安の声が上がっている。
施設活用に民間事業者から打診、周辺道路閉鎖の要望も
同公民館の集まりに約30人の地域住民が出席した。この時、市職員は「出会いの村を活用したい事業者がいる。その事業者が周辺道路3か所を閉鎖し、敷地内に入れないようにしたいと言っている。住民みなの意見を聞きたい」とし、事業者が案として示した道路閉鎖の場所を説明した。
この説明に、地域住民は「どのような活用で、どこの事業者か、まずは教えてもらいたい」と問うが、市職員は「私は担当ではなく、同じ地域住民ということで意見を聞いてくるよう言われただけ。詳しくは知らない」と返答している。
他にも住民からは「貸すのか、それとも売却か」との問いにも市職員は「わからない。ただし、施設全域だとは聞いている」と答えた。
実体の不明瞭さに住民困惑
突然の道路閉鎖の案に、集まった住民らは困惑した。市職員と住民との意見交換は次の通りだ。
周辺道路の閉鎖は、施設周辺の住民には日常の生活や仕事などにも支障があるため、「なぜ、立ち入り禁止にする必要があるのか。磯にも出られなくなる。住民が使っているペタンク場にも行けなくなるのか」と問い、市職員は「事故や危険なことがあるかも知れないと聞いている。磯に向かう道路、ペタンク場も閉鎖の対象になっている。その場合は通れなくなる」という。
市の考えに、一部の住民は「出会いの村は旧郷ノ浦町時代、地元のためになる施設を作るという話だったから、みなが田畑を提供した。話がおかしくはないか。もう民間活用は決定なのか」と詰め寄った。
市職員は「決定ではない。まずは住民の意見を聞く。住民が反対すれば、話は白紙になる」と答えた。
なおも納得できない住民は「今回のような話が出ると言うことは、民間事業者から話がなくても、市は出会いの村を売るか貸すかしたがっているのか」と問い、市職員は「そのような話は聞いていない。ただ、有効活用は考えていると思う」と答えた。住民は「再度確認するが、住民が反対したらこの話はなくなるのか」と問い、市職員は「その通りだ」と答えた。
上層部のみの情報共有か
同公民館の集まりに出席した山口欽秀議員は、事実確認のために市総務課に問い合わせたが「そのような話は知らない」と返答があったため、中上良二副市長に問うたところ「民間事業者から活用したいとの打診があった。同施設の運営も赤字のため、検討の一つにはある。しかし、地域住民の意向も聞かねば判断はできない」と答えている。
同施設周辺を管理する市農林課は「施設周辺道路の市道認定について見直す時期であり、その話なのではないか。その場合は市議会に上程することになるが、詳細はわからない」と答えた。
市総務課や農林課職員には詳細が伝えられていない状況の中、市上層部のみの情報共有が地域住民に伝えられたようだ。混乱する住民は「生活道路を閉鎖するなどあり得ない。当然、本格的な話があがれば反対する」と怒りを露わにした。