2025.6.24壱岐クリーンエネルギーが民営化

市の持ち株25・5㌫を設立時の出資金510万円で譲渡、株式評価は0円

 

 市議会6月会議で、市は保有する芦辺町の壱岐クリーンエネルギー(中原達夫代表取締役)の株式を同町の「なかはら」に譲渡したことを報告した。同社の株25・5㌫を保有する市の譲渡額は、102株で510万円。譲渡の経緯に市は「同社の取締役会で承認を得て決まった」と述べた。同社は、四町合併以前の旧芦辺町時代に、芦辺町が一部出資して設立した。合併後は、市が資本25・5㌫を出資する第3セクターの運営会社となった。事業は、芦辺町箱崎諸津触に風車を設置した風力発電施設などを手がけている。

 

 市は、株の譲渡の理由に関して「非上場の株式であり、同社の定款第9条に『株式の譲渡制限に関する規定が設けられない株式の譲渡には取締役会の承認が必要』とあることから、取締役会の承認を得て市の持ち株を譲渡した」と説明した。

 同社の株式評価については1株5万円。取引相場のない株式の評価は0円とした。よって市の保有102株で、設立時の出資額510万円が譲渡額となった。市は、譲渡額が設立当初からの1株5万円のまま、現在の評価額は弁護士などの専門家と協議したと説明。3月27日付で、「なかはら」から市へ、譲渡額が支払われた。

 これまでの同社から市への配当金は、2016年、17年の2回で各38万2500円。

 今回の場合、市の持ち株の割合や株式の評価などの基準から、譲渡に至るまでの市議会の採決は必要ない。しかし、武原由里子議員は「議会を経ずに譲渡した理由はわかるが、譲渡に至る経緯や譲渡額など、今後は同様の場合も議会にも報告してもらいたい」と意見した。

 山口欽秀議員は「どのように選定し、どういう理由で決めたのか。以前、議員への説明では、株価の譲渡額や方針など、弁護士を交えて協議すると言っていたが。他事業者への公募はなかったのか」と問うた。

 地域振興部長は「譲渡の相手先は、市の財政状況や事業の継続性など、総合的な視点から公募による選定も検討したが、取締役会の承認が得られなければ選定事業者との間で問題が発生する。そのようなことはリスクが高いと判断し、市の顧問弁護士に相談確認の上、公募は見送った。最終的には同社の事業の安定的な継続性の観点から株主である『なかはら』を譲渡の相手として決定し、会社法に則って手続きを進めた」と説明した。

 山口議員は「20年以上、第3セクターでの経営のために市は資本金を提供し、3セクの役割を果たすように経営に参加してきた。民営化の前に、市民にも電気料金を下げるなど還元がある経営はできなかったのか」と意見した。