2025.9.23イルカパーク、3度目の公募に応募者なし
次期指定管理者の公募、応募者なしの場合は市直営の可能性も
勝本町の壱岐イルカパーク&リゾートの運営について、次期指定管理者の選定に、公募の申込者がいないことが問題となっている。市議会9月会議の一般質問で、松本順子議員は来年8月31日で指定管理者の期限が切れるため、令和8年度から3年間の次期指定管理者の公募状況について質問した。市は「現在、公募を行なっている。30日までが公募期間だが、応募者がいないのが現在の状況」と回答した。現在の同施設指定管理者は、イキパークマネジメント(高田佳岳代表)が施設管理や運営を行っているが、次期も継続するかの判断は不明のままだ。
応募者なしの場合、指定管理者から市直営も視野に
市ホームページには、令和8年度から10年度までのイルカパーク指定管理者募集について、「先月14日までの再公募を行ったが、選定に至らなかったため」として再度、募集を始めている。
初回の募集期間は、5月28日から7月10日までだったが、応募者は現れなかった。そのため、市は改めて7月11日から先月14日まで2回目の公募を行ったが応募者はなし。今回、30日までの再々募集に踏み切ったが、現在(16日時点)まで、名乗りをあげる応募者はいない。
市は、「現在、公募期間中であり、何とも言えない」というが、このまま応募者がいなかった場合、苦しい判断に迫られそうだ。市観光課への質問では、市直営による運営の可能性も示された。以下、質問と回答。
-応募者がいないことについての分析は。現指定管理者の意向は聞いたか。
(観光課)再々公募中であり、公募がいない理由などの分析は現時点ではできない。現指定管理者の意向も同様に、公募期間中であり、聞いていない。
-今回も、応募者がいなかった場合はどうするのか。
(観光課)市の直営による管理運営の可能性もある。以前、同施設はイルカ振興会が管理していた時期もあり、その運営方法も検討の一つ。
-今回も応募者ゼロの場合、4回目の公募はあるのか。
(観光課)公募中で答えられない。ただ、市議会12月会議に議案を上程するスケジュール、指定管理者の引き継ぎなどの観点で言えば、4回目の公募は現実的ではない。
-市直営のあり方を詳しく聞きたい。
(観光課)職員を募集して運営に携わってもらうなど。ただ、専門的な知識も必要となるので、慎重に判断したい。
-市民からは、施設の環境や立地の問題、死亡した後に購入などに否定的な声もある。イルカに依存しない施設、市民憩いの公園化などに変更する考えはないか。
(観光課)イルカパーク管理・環境等検討委員会から報告があった施設の問題点を改善する。イルカの死亡は、これまで以上にイルカの寿命を伸ばすようにしていく。
イルカと切り離した施設運営は、今のところ考えていない。
現在は応募者が現れるのを待つ状況
同施設は、1995年に旧勝本町の管理のもと、本市の新たな観光施設として開館した。2003年6月に国の法改正により指定管理者制度が導入され、当時の市議会の議決を経て指定管理者による運営が決まった。同施設のリニューアルと同時に2019年4月、指定管理者による同施設運営が始まり、現在に至る。指定管理者の契約期間は3年で、今回の公募は3期目となる。
この間、同施設内ではイルカ死亡が相次ぎ、リニューアル後から計7頭の死亡が続いた。市は、イルカパーク管理・環境等検討委員会を開き、死亡原因の究明を急いだ。専門会員らは、施設内の水質環境や冬場の水温、気候による水質の変化などから、いくつかの死亡原因の仮説を立てたが、明確な原因究明には至っていない。
指定管理者の高田代表は、イルカに負担をかけない飼育プログラムや、新鮮なえさの供給、獣医師によるイルカの健康調査と治療などを継続し、イルカ飼育の努力を重ねた。
今後の予定は、順調に応募者が現れた場合、選定から契約締結まで進む場合は、10月下旬ごろに選定委員会を開き、選定結果の通知と公表、仮協定を行う流れだ。その後、市議会12月会議で議案上程され、市議会の議決を経て、本契約となる。応募者がいなかった場合は、市直営による運営の可能性が高まる。