2020.8.04「GoToトラベルキャンペーン始まる」誘客ならば感染防止の徹底を

 新型コロナウイルス感染拡大の第2波が懸念される中で22日から始まった「GoToトラベルキャンペーン」は、東京都を対象外にするなど政府の対応は迷走を極める。本市への観光客動向は例年ほどのにぎわいには至らないが、これまでの緊急事態宣言や県境を超えての移動自粛以降、消費を後押しするキャンペーンによる誘客効果はあったようだ。

 同キャンペーンは、観光庁がコロナ禍により落ち込んだ旅行需要を喚起するため、旅行事業者が販売する旅行商品や、宿泊施設が販売する宿泊プランなどを予約する際に、旅行代金の最大5割を補助する観光支援策として始まった。金額の上限は、1人1泊あたり2万円、日帰りの場合は1人1万円を補助する。実施期間は来年3月15日までの約8か月間とし、国の施策では前例がない長期キャンペーンだ。

 しかし、同庁は「東京都在住、および都内を目的とした旅行や都内を発着する旅行を対象外とし、高齢者・若者の団体旅行、宴席を伴う旅行については事業者の判断に委ねる」と発表。開始直前に東京都発着の旅行を除外したことで、今月10日から17日までの予約分のキャンセル料について国は、都民は全額免除、事業者には実損相当額を補償する方針を示した。

 本来、同キャンペーンの方針では、コロナの流行収束後の一定期間とされていた。また、当初は8月から実施予定だったが、約1週間の前倒しとなり、前日の21日に東京都が対象外になるなど、見切り発車感は否めない。全国でコロナ感染が広まりつつある中、本市でも「このまま観光客を受け入れて、感染者は出ないのか」など、市民や市内事業者からも疑問と不満の声が出ている。

 23日から26日までの間、フェリーやジェットフォイル、郷ノ浦町内の往来やスーパー、各海水浴場などで見かけた観光客の感染拡大防止策のマスク着用率について、当紙の調べでは7割前後の印象だった。また、同時に市民の着用率も4月から5月の感染第1波の時と比べて、低い印象を受けた。

 九州郵船によれば、連休期間中の乗船客数などの状況は「昨年の海の日前後の7月12~15日までの対前年比で、博多-壱岐間のフェリーでマイナス約30㌫、同航路間のジェットフォイルでマイナス約40㌫。唐津-壱岐間でマイナス約15㌫。事前の予約は少なかったが、連休直前で乗船者が増えた。昨年には及ばないが、予想以上の乗客数だった」と語った。

 市観光連盟は「海水浴客は雨の影響から例年よりも少なかった。宿泊状況は大型施設などはおおむね満室。また、他県ナンバーを多く見かけたことから、感染防止で博多港や唐津港までの公共交通機関を避けて車で来島した人もいた。若い観光客のマスク非着用も目についた」と印象を述べた。

 市内の飲食店店主は「自粛解除以降で最も来客が多かった。店内では感染防止対策として、椅子を減らし午後5時までの短縮営業とした。連休中に郷ノ浦町で感染者が出たとのデマが飛び、危機感はあった」と不安を語った。

 現在、初の感染者が確認された五島市など、人の移動による感染拡大が離島にも起きつつある。また、連日のように県での感染確認の一報が届く。今後、県内で広がる感染により、今後の観光客数に影響が及ぶことも考えられる。その場合、宿泊施設のキャンセルや航路便の利用者減など、経済的な損失が再び生じる。

 本市は、3月に県内初、4月には連日で感染者が確認され、市民には緊張が走った。しかし、現在、本市を訪れる観光客や市民にもマスクを着用していない姿も見られ、どこか気の緩みがあるように思えてならない。同キャンペーンで誘客推進を決めたのならば、本市は行政も民間もともに徹底した感染防止策を講じねばならない。