2025.5.27「重大な憲法違反あり」市民が訴え
柳田保育所閉所を進めた市に対し市民が国家賠償の訴訟起こす
3月末で閉所した、柳田保育所の閉所に至る市の進め方に違法性があるとして、市民が市に対して「国家賠償(憲法違反)請求」の訴訟を起こした。訴えを起こした市民は「同保育所の一時存続を望む市民が、市議会に閉所の延長を求めた請願書を提出したが、議会採決前に副市長と市幹部職員ら3人は、請願に賛同する議員宅を訪問した。この行為は請願潰しではないのか」という。同市民は先月8日付で壱岐簡易裁判所に「市は、憲法で定めた国民の権利、義務を犯した不法行為だった」として訴えた。訴状は同月11日付で受理され、今月13日に第1回目の口頭弁論が開かれた。
柳田保育所の一時存続を求めた市民団体が昨年8月、市議会議長宛に提出した請願書をめぐる訴訟が起きた。請願書を提出した日の午後6時以降、柳田保育所閉所に関する議案上程の説明のため、請願内容に賛同する市議を主として、中上良二副市長、市民部長、当時のいきいろ子ども未来課課長の3人が市議宅を訪問していた。この事実を重く受け止め、訴えを起こした市民は「同保育所閉所を有利にするため、請願潰しを目的とした訪問だった」という。
訴状には、副市長、市民部長、担当課長の3人に対し、「8月30日付の請願書の内容を議会が受理しているにもかかわらず、十分な審議をする前に、3人は議員数人の自宅を訪問した。公平公正な議会採決を妨害する違法行為だ」と指摘する。
また、「職員らが権力を濫用して請願を圧し、保育所の閉所を強力に進めた。副市長と職員らによる職権濫用だ」とし、司法の判断を求めた。
訴訟を起こした市民は、「憲法16条には、国民が損害の救済、公務員の罷免、法律・命令・規則の制定、または廃止、改正などについて、平穏に請願する権利を有することを規定する。また、請願をしたために差別待遇を受けないことも保障されている。3人の行為は請願潰しと言える。重大な憲法違反だ」と指摘した。
さらに「日本国憲法の保障する国民のもっとも基本的な権利である『平穏に請願する権利を有する』の人権保障の基本が、本市にはないのではないか」とする。
「市民団体が提出した請願書には、市民500人が署名した『柳田保育所を存続したい』との思いも含まれている。それを踏みにじった行為は許されるべきではない」と述べた。同訴訟の裁判は今後、数回に及び開かれる。