2018.6.12遺骨、祖国返還へ一歩近づく 終戦直後の芦辺港遭難者朝鮮人遺骨、42年ぶりに壱岐へ

遺骨、祖国返還へ一歩近づく
終戦直後の芦辺港遭難者朝鮮人遺骨、42年ぶりに壱岐へ

先月31日、終戦直後に朝鮮半島に引き揚げる途中、海難事故で亡くなった朝鮮人の遺骨131柱が、長年保管していた埼玉県所沢市の寺院「金乗院(こんじょういん)」から本市芦辺町の天徳寺(西谷徳道住職)に移された。厚生労働省担当者、韓国の僧侶、遺骨返還に取り組んでいる市民団体など約60人の参列のもと安座法要が執り行われた。

 天徳寺に移された遺骨は昭和51年に本市で収集した86柱と、昭和59年から60年にかけて対馬市で収集した45柱。
 日韓両政府の遺骨返還協議の交渉は滞り、返還の見通しは立っていないが、遺骨の祖国返還へ大きな一歩を踏み出したと関係者は喜んでいる。
 参列した白川博一市長は「日韓共同で御遺骨の返還を一日も早く実現したい。民間レベルでは日韓の交流は良好だが、政府レベルだと難しい問題を抱えている。市民団体の力を借りながら慰霊祭などの機会を活かし働きかけていく」と今後の取り組みを語った。
 西谷住職は「待ちに待った遺骨が帰って来てうれしい。一日でも早く政府間の交渉が進むことを望んでいる。返還のその日まで、変わらぬ気持ちで供養していく」と話した。