2018.6.26芦辺町に新漁協設立の動き
芦辺町に新漁協設立の動き
東部漁協の一部組合員による新たな設立へ
東部漁協(芦辺町・浦田和男代表理事組合長)の一部組合員による、新たな漁協設立の準備が進められていることがわかった。各申請や手続きが進み、行政監督庁となる県が設立の許可を与えた場合、芦辺町には3つ目の漁協が誕生することになる。設立の理由は、組織運営の方向性の違いと資金や管理帳の情報開示についての不信など。県庁の担当者は「社会の流れは分裂ではなく合併の時代。なるべくなら二分化は避けたいが、やむを得ない事情もわかる。担当課は粛々と手続きを進めるのみ」と理解は示すものの、設立に慎重な考えを述べた。
発起人らは東部漁協組合員で、漁協設立の条件として水産業協同組合法が定める漁協設立要件の発起人20人以上はすでに集まっている。今年3月11日に市内で創立総会を開き、その後に振興局に設立の認可申請をしているが、振興局は申請書の記載に不備があるなどの理由で、再提出をするよう指示している。
新漁協設立の動機について、発起人らは現在所属の漁協に対して根深い不信感を抱えていると答えた。理由として「平成24年から現在までの事業利益の赤字がかさみ、健全な運営とは思えない。事業に関する資金の流れや各組合員の出資金残高の状況など、管理帳票や資料の開示と閲覧を求めたが、拒否された」と述べた。別の発起人は「行政庁による執行権も迅速かつ明快に履行されない」と不可解さと疑問を持っている。このような事態を打開するため新漁協設立への考えに至ったという。
さらに「6月11日に今年度壱岐東部漁業協同組合通常総会に向け、慣例として地区ごとの事前説明会(通称浜会)を開催した。しかし『新組合設立に加担したら漁協施設のものは使わせない、船を港に置かせない』など威嚇的な発言を受けたと語った。
代表理事は不在のため、職員に話を聞くと「新たな設立の動きは聞いている。しかし詳細については不明」と答えた。
また発起人の中には壱岐近海の海砂採取における自然保護と、海砂に絡む利権についても疑問を呈している。今年3月14日に市議会と市に対し、翌15日には県議会と県に対して「壱岐沖海域における海砂採取に関する陳情」を提出した。陳情書には、壱岐沖海域での海砂採取不同意の意思表明と海砂採取の中止勧告を要請するもので、市民からの署名も添えた。
今回の市議会6月会議にも陳情書を提出し、海砂採取の中止と採取業者登録の取り消しを要請しており、これも漁協に関した動きになる。
今後は、再度見直しをした書類を県に対して提出し、許可申請を進めていく動きだ。東部漁協の総会は今月29日に開催予定で、どのような話し合いが行われるかが注目される。