2019.11.05芦辺中新校舎、1日から新たな学び舎へ

3度の工期延長を経てようやく移転に。心機一転のスタート

 

 3度にわたる工期延長のために、混迷を極めた芦辺中新校舎がついに完成した。新校舎への移転は10月31日を予定し、生徒らは11月1日から新たな学び舎で授業を受ける。これまで旧田河中校舎を活用してきた芦辺中は耐震補強などに問題があったため、旧那賀中跡地に新校舎を建設しこれまで工事を進めてきた。建設用地内にあった農水管の調査や協議による遅延、2年前の豪雨による土砂災害などの復旧工事で建設作業員不足による遅れが生じたが、その後は順調に工事が進み、ようやく完成まで行き着いた。

 

 先月28日の市議会定例会10月会議の冒頭で、白川博一市長は「芦辺中新校舎建設では、大変に心配をおかけした」と陳謝した。また、今後の日程として「10月23日に県の検査、市の検査を本日終えた。大きめの備品などは事前に請負業社の協力を経て運搬作業を終了している。机や椅子なども生徒や学校関係者、市教育委員会の職員で移転を進めるようにしている。11月1日には新校舎での授業開始に向け、10月31日に全ての移転を完了する」と説明した。

 芦辺中新校舎建設の流れは混迷を極めた。約2年前は芦辺町ふれあい広場周辺を建設予定地としていたが、土砂災害などの懸念から見直しを検討し、現在の旧那賀中跡地に決まった。その後、(株)なかはらと市が昨年6月に工事契約を交わし工事に着手したが、市議会3月会議で市教委から工期の遅れと繰越明許の申し入れがあり、工期を今年7月末までとした。

 しかし、市議会6月会議で白川市長の行政報告には「さらに遅れが生じ、8月末完成となった」と釈明。この発言からわずか15日後の市議会で、久保田良和教育長と白川市長は「さらに延期し、10月末まで延長になる」と謝罪した。3度にわたる工期延長に議会は紛糾し、「なぜ工程会議で工事の遅れが問題に上がらなかったのか。なぜ遅れが発覚した時すぐに適切な対応はしなかったのか」と詰め寄った。この時、久保田教育長と白川市長は、謝罪の弁を述べて理解を求めた。

 これまで活用してきた旧田河中校舎は、耐震強度不足などの危険があり、早急な移転を求められていた。3度にわたる工期延長の末、1日から新校舎での授業が始まる。保護者らは「完成まで長く感じたが、ようやく移転に漕ぎ着けた」と胸を撫で下ろした。生徒らは今後、新校舎を母校として学んでいく。