2025.2.11老朽化による水道管破損、本市は大丈夫か

 下水管の老朽化による破損により、先月28日に埼玉県八潮市の交差点で発生した大規模な道路陥没で、走行中のトラックが転落する事故が発生、上下水道管の老朽化が問われる全国的な社会問題として注目されている。本市も全国の例に漏れず、水道配水管などのインフラの老朽化が問題となっている。特に上水道は設置から60年と耐用年数を大きく超える地区もある。今後、本市でも水道管破損による事故は起きる可能性があるのか。検証してみた。

 

 道路陥没の事例は過去に福岡市でも起きた。2016年11月の早朝、JR博多駅前の大通りの地下鉄延伸掘削工事の現場で、幅約27㍍、長さ約30㍍、深さ約15㍍の穴ができ、下水が流れ込んだ。原因として地下鉄工事の影響とされたが、その後には電気、ガス、水道が断絶し、破断した下水道管から下水が流入する事態となった。

 一般的な水道配水管の耐用年数は40~50年とされている。現在、全国では昭和の高度経済成長期に埋められた水道管が、更新の時期を迎えている。すでに耐用年数を超えたものもあり、早急な更新が求められるが、人口減少による財源の不足などから、予算の捻出が厳しいという。本市の場合も全国の例と同じく、特に上水道管は耐用年数を迎えている。

 八潮市で起きた下水管破損による道路陥没を受けて、まずは本市の下水道管の現況を市上下水道課に聞いた。本市の場合、郷ノ浦町地区の公共下水道と芦辺町と石田町の漁業集落下水道がある。当初の設置段階で予算などの成り立ちの違いがあるが、両水道とも同課の管轄になる。

 郷ノ浦町の公共下水道は市役所あたりから庄触方面が北部処理区、本町から東触方面が中央処理区になる。下水管が設置された時期は、北部が1998年、中央が2006年。まだ設置年数は浅く、両地区ともに耐用年数を迎えるには余裕がある。漁業集落下水道もほぼ同年だ。

 下水管の内径は10㌢から25㌢、深さは1㍍から4㍍ほど。漁業集落は深さ0・6㍍から4㍍ほど。八潮市の事故では、内径4・75㍍もあり地下約10㍍にある。このことから、本市の下水道管は継続的なメンテナンスを施せば、道路陥没などを起こす可能性は低い。

 問題となるのが上水道管だ。市内には全長約600㌔の上水道管が張り巡らされ、中には設置から60年経過するなど耐用年数を大きく超えるものもある。定期的に状況把握の調査を行い、必要に応じて年間100か所ほどの修理を行なっているが、それでも全長に対してわずか500㍍ほど。修理のペース以上に老朽化が進んでいるのが現状のようだ。

 さらに問題はある。水道管老朽による漏水だ。同課によれば、今年度の市内全域の上水道の有収率(給水量と収入があった水量の比率)は約70㌫。言うなれば約30㌫もの水道水が管から漏れ出し、地下に流れ込んでいることになる。このことで不安視されるのは、漏れた水による周辺の土壌の環境はどうなっているのかという点だ。地盤の緩みが起きないのか。

 本市の上水道管は最大でも内径約20㌢とそれほど太いわけではない。それでも水道管と地盤の沈みにより、数十㌢ほどの道路陥没の可能性は残される。仮に20㌢の陥没した穴に車のタイヤが落ち込んだ場合、不測の事故につながりかねない。

 同課は「土壌や道路の交通量など、水道管の埋設環境によって寿命は異なる」というが、早急な更新が求められる。一方で、多額の財源が必要になる問題も残される。この課題にどう対応するか、市をあげて考えていかねばならない。