2018.12.11市政の混乱や疑義追求に期待(市議会定例会12月会議)

三役や議員、市職員の給与報酬改正を上程

市長、県警捜査の詳細説明には触れず

 市議会定例会12月会議が4日から開会した。一般質問にも10月から11月中旬にかけて県警による市政への入札疑義についての捜査や、それに関すると思われる副市長の突然の辞任。さらに10月に開催された市長任命の観光大使主催による縄文祭で、会場となった筒城浜キャンプ場付近広場の芝生損傷や近隣住民への騒音被害など、多くの問題があがる。また市からの提出議案には、市長含む三役と議員、市職員の給与に関するものも含まれ、今年最後の市議会は注目点が多い。

県警捜査の疑義

 10月中旬頃に発覚した県警二課による、市と建設業者の入札の談合疑義などの捜査は、島内にも様々なうわさや憶測が広まり、疑問や不安を抱えた市民の声が当紙にも届いていた。

 捜査線上にあがった建設会社の代表は、10月12日に7年以上務めてきた消防団長を辞任。その翌日13日には任意同行を求められた市職員が、受理はされなかったものの辞表を提出する事態が起きた。さらに先月27日には副市長が突然の辞任を発表した。副市長は26日に任意同行を受ける前日まで、和牛共進会などの公務を行う中での辞任だった。

 先月11日に谷川弥一衆議院議員が来島し、白川博一市長や市議、関係機関の職員が出席した有人国境離島法有識者懇話会が開催された後の13日、県警の捜査は終了することになった。県警からは公式コメントの発表はないが、証拠不十分で立証できなかった旨を話している。

 白川市長の行政報告に捜査関連の一文がある。市民が知るべき詳細な説明には及んでいない。

 行政報告の内容は「市の建設業界の入札問題で、先月13日に説明を受けた。その一環として中原前副市長及び市職員に事情聴取が行われた。県警本部からは、その結果について何らの措置及びコメントはない。今後、行政として適正な入札が行われるよう入札制度のあり方等を研究してほしいと話があった」というもの。

 約1ヶ月間に渡り、市政の混乱や疑義が露呈した騒動に対して、市民に向けたわかりやすい説明と疑義が生じた理由、捜査の経緯、さらに市長は、副市長の辞任は捜査との関連はないというが、なぜ事情聴取を受けた翌日に辞任を表明したのか。疑問は多い。

 なお一般質問では、植村圭司議員、赤木貴尚議員、音嶋正吾議員が質問する予定。

観光大使任命の基準と適正を問う

 また、白川市長自ら観光大使に任命したHappy(前田沙智)氏主催の、10月13日に筒城浜キャンプ場付近で開催した縄文祭は、島外からの参加者約1500人と規模的な成功はあったものの、主催者側と市は近隣住民や市民への周知や説明不足などで不審をかう事態が起きた。

 また市の対応として、市観光大使に任命している立場でありながら、不明確な協力体制にも疑問が生じた。イベント終了後には、会場となった芝生の損傷もあり、市が提示した公園使用料の内訳や芝生修復にも、責任を問うべきとの市民の声が起きた。

 Happy氏の肩書にあるスピリチュアルブロガーが、市が定める観光大使要綱に適任なのか、筒城浜ふれあい広場条例にある「営利目的、宗教団体が行う事業と認められた場合は利用を取り消す」とある。議会での検証と追求に期待したい。

 縄文祭開催後、先月10日には九州を活動拠点とするタレント「ちんねん氏」を新たに市観光大使に任命し、現在の市観光大使任命者は11人になった。

 一般質問では、植村圭司議員、山内豊議員が質問する予定。

給与報酬改正が上程

 今回、市から提出されている議案には、「壱岐市長、副市長及び教育長の給与に関する条例、市議会議員の議員報酬及び費用弁償等に関する条例の一部改正」と「市職員の給与に関する条例改正」が上程されている。

 提案理由は「市長、副市長、教育長及び議会議員の期末手当の支給率を調整するため、所要の改正を行うもの」とし、市職員の給与改正は「人事院の国家公務員の給与等に関する勧告に基づく国の給与改定に伴い、本市職員の給与等について所要の改正を行うもの」と理由付けている。

 市長含む三役と市議の給与に関する議案は、市民ら代表による「市特別職報酬等審議会」を開催し、実質的に給与増で決定したものを、昨年11月に市長に答申したが、市議会は昨年12月会議で「財政状況から今は改正すべきではない」「民間との格差がある」などを理由に否決した。 前回の給与報酬等の審議からちょうど1年後の今期市議会12月会議で、同様の給与及び報酬等の改正案があがっている。この1年間で、市の財政状況や民間給与との格差やバランスを検証する審議を求めたい。