2025.10.21「20分都市」構想で持続可能な島づくり

国交省が採択した「地域生活圏形成リーディング事業」に対して質疑

 

 市議会10月会議の8日、市が上程した「地域生活圏形成リーディング事業」について質疑が飛び交った。同事業は、国土交通省が令和7年度2次公募で採択した。AIを使った将来人口のシミュレーションや、生活サービスを20分以内に利用できる「20分都市」構想の検討、民間資金の活用調査などに取り組み、官民協働の新しいまちづくりを目指すことなどを盛り込む。市は、第4次総合計画に掲げた「2050年に人口2万人を維持する」という目標に基づくとするが、市議からは「具体的な施策や方針が見えない」などの意見が上がった。議会は賛成多数で可決、事業費は1450万円。

 

 国土交通省の「地域生活圏形成リーディング事業(2次公募)」に採択された本市では、AIを活用した政策立案や地域経営の新モデル構築、主要な生活サービスが居住地から20分以内でアクセスできる「20分都市」構想の実現に向けた調査や研究などに着手する。

 「20分都市」とは、本市の地理的特性を踏まえ、徒歩または車で20分以内に医療・買い物・教育など必要な生活サービスにアクセスできる構想だ。島内の旧4町の港を中心に、生活機能がコンパクトに分散する「多極分散型コンパクトシティ」を目指す。

 市が代表を務める「(仮称)市地域生活圏官民共創プラットフォーム」には、県や対馬市、民間企業、専門家らが参画。主な構成員は、市政策顧問広井良典氏(京都大学名誉教授)、壱岐みらい創りサイト、西松建設、KPMGコンサルティング、PoliPoli、エンゲージメントパートナー企業など。

 離島という条件不利性を抱える中で、対馬市とともに人口減少や高齢化に対応し、医療・教育・商業など生活サービスを維持することを目的とした官民連携の先導的取り組みとなる。

 市は第4次総合計画で「2050年に人口2万人を維持する」との目標を掲げるが、現実は厳しい。現在の人口は約2万3千人にまで減少し、少子高齢化が急速に進む。高校卒業後の若者流出も続き、働き手不足や地域経済の縮小が課題となっている。そうした中、市は「官民共創」による新しい地域運営体制づくりを進めており、今回の採択はその一環だ。

 市は、今年中に官民連携プラットフォームの体制を整え、来年2月までに地域生活圏形成に向けた方針をまとめる計画だ。関係者の調整は11月から開始し、AIによる未来予測やインフラ調査を段階的に進める。