2024.9.03「地域への説明がない」住民が反発
地域住民と柳田保育所保護者へ保育所閉所に関する説明会実施
市いきいろ子ども未来課(以下、担当課)は20日、篠原一生市長が同席のもと、柳田保育所2階会議室で同保育所閉所の方針に関する「第2回住民説明会」を開いた。保護者や地域住民、公民館関係者など約50人が参加し、意見を交わした。担当課と篠原市長は、来年3月末に閉所手続きを進める方針に変わりがないことを報告、一方で地域住民らは「これまで地域への説明がなかった。今回もわずか1時間のみの説明と意見交換で時間を制限した。これでは活発な議論はできない」と反発した。
地域住民と柳田保育所保護者らは「地域に何ら説明がないまま、保育所を閉所しようとしている。我々をないがしろにした一方的な方針決定ではないのか」などと憤り、市に対して説明会を開くことを要望した。地域の要望を受け、担当課は6日に1回目の説明会を開催、市と地域住民の意見はまとまらず、2回目の説明会を開いた。
篠原市長は「市の付属機関である子ども子育て会議で審議・決定を経た市の方針を保護者説明会、広報いき、市ホームページなどで広く知らせてきた。限られた市の予算や人手でやりくりしながら、提供していくことが行政の責務。閉所に向けた方針で進めていく」との考えを述べた。
他園転入先の希望に「優遇はない」と回答
1回目の説明会で担当課は「柳田保育所閉所の方針はすでに決まったことで、手続きを進めたい」などと話した。へき地保育所の園児の減少にも触れ「集団生活の中での学びや活動が制限される保育施設については施設の集約化を行い、保育所職員の負担軽減を図る。保育にかける時間をこれまで以上に確保することが、保育環境の充実、保育力の向上と質の高い幼児教育の提供につながるものと考える」と説明した。
地域住民は「柳田保育所の入園児減少は、市が閉所する旨を公表し募集したからではないのか。そうならば入園児が減るのは当然だ。柳田地区は交通アクセスや生活する上で利便性が高い地域。通常の募集であれば、大きな減少は無かったのではないか」と意見した。
保護者から「もし閉所になった場合、柳田保育所在園児の他園転入先の希望や優遇はあるのか」との問いに、担当課は「優遇はない。善処したいが公平性の問題がある」などと答え、保護者は「私たちに転所の負担をかけるのだから、市は何らかの対応を考えなければならない」と反発、担当課は「意見として受け止める」と明言を避けた。
時間制限の説明会に市民が憤り
2回目の説明会で、保護者は「柳田保育所閉所はどう決まったのか。私たちの生活に寄り添った検討を今一度していただけないか」と要望した。
担当課長は「第36回市子ども子育て会議までに市民を対象に広くパブリックコメントを実施しさまざまな意見を受けた。その上で同会議により決定した方針なので理解願いたい」と答えた。
市の考えを受け地域住民は「パブリックコメントには柳田保育所を閉所すると明記していたのか」との問い、担当課長は「していない」と回答、出席者は唖然とし、驚きの表情を見せた。
地域住民は篠原市長に「市長選の期間中、篠原市長は地域住民から閉所見直しの意見を聞いていた。ところが当選後、閉所するとの考えを示している。どの段階で考えを固めたのか」と問うた。
篠原市長は「市長就任後に担当課から経緯を聞いた。県内のへき地保育所は対馬市にしかなく、時代の役割を終えた。今後は認定こども園として集約化していくことが今後の子どもたちや市に必要になる。すべての市民が納得するのが一番だが、100㌫納得するということは社会的にありえない」と述べ、閉所に向けた方針を進める考えを改めて示した。
他の地域住民は「柳田地区で説明会は行われないまま、本日に至っている。事前に地域への説明会が行われていれば、現在のような問題は無かった。為すべきことを為さない市の対応こそが、今回の問題の根源にある」と意見した。
2回の説明会で地域住民の納得には至らず、近日までに3回目の説明会を開催することを約束し、会を終えた。