2019.9.03「公序良俗に反する」で異例の解任

市観光大使要綱改正による初の解嘱を発令、島外イベントでの画像が理由

 

 市は、市観光大使に任命していた前田紗智(以下、Happy)氏を先月31日付で解嘱したと発表した。理由について市観光課は「7月に開催した島外イベントで、市観光大使として不適切な行動があった」とする。市議会3月会議で市観光大使要綱改正を改正した市は、これまでの「任期は設けない。本人から辞退の申し入れがあった場合は解任となる」から、「特別な事由があるときは、市長の判断で解嘱することができる」に改正し、Happy氏に解嘱を通達した。市に対して同氏からの返答はない。島外イベントの様子はインターネットを介して全国の一部ネットユーザーの間で話題になり、市の対応に注目が集まっていた。

 

 市観光課の説明によると、7月に開かれたHappy氏主催の島外イベントにおいて、一部内容が「公序良俗に反する」として、市観光大使を解嘱することに決めた。

 同課の説明では、7月末ごろから市に対して同氏のイベント内容に問題があるのではないかと市民から指摘が届いていた。これを受けて市は、島外イベントでの一部内容が、市観光大使にふさわしくないとの判断に至ったようだ。

 同氏のブログなどからインターネットを介してイベントの様子を伝える画像が出回っていった。市が問題とした画像は、ステージ上で並ぶ出演者の中に、過剰に肌を露出している女性が写っていたもの。市は、イベントについて同氏に連絡を取ろうとしたが不通のままとなり、8月上旬に市観光大使解嘱の通知を郵送した。その後も同氏からは返答はなく、市観光大使要綱に沿う形で解嘱の決定に踏み切った。

 市観光大使委嘱は平成18年から始まり、現在までに15人が任命されているが、解嘱の処置を受けたのは今回が初となる。また、昨年10月に開催した同氏主催の島内イベントのあり方を理由に、市観光大使要綱の改正に至ったことも過去に例はなく、異例の事態となっていた。

 

なぜ市観光大使に任命されたのか

 Happy氏は、平成30年3月1日付で本市観光大使に任命されている。同氏は平成29年12月、郷ノ浦町の岳ノ辻付近にゲストハウス「月の器」をオープンし、白川博一市長や島内外の人ら約100人がオープニングレセプションに参加した。その後、脚本家の旺季志ずか氏(吉本興業所属)と共に、壱岐を舞台にした新・古事記ミュージカル公演「天の河伝説」を昨年2月10日、壱岐の島ホールで行なった。この時、会場は約1000人の観客で埋まり、ほとんどがHappy氏を慕う島外からの来場者によるものだった。

 この舞台での集客と島外誘致の実績や、同氏が開設するブログの人気の高さなどを理由に同年3月1日、市役所内で白川市長自らが同氏に対し市観光大使の委嘱状を交付した。この時、白川市長は「多くの来島者を連れて来ていただき感謝する」とお礼の言葉を述べていた。同氏は委嘱を受け「今日は良い運命の日。壱岐は神社が多いので日本中の人に来て欲しい」と話し、熱い握手を交わしている。また、市によれば、任命の経緯は白川市長の判断で行われたものだったという。

 

賛否の島内イベントに市議会も動く

 市観光大使の任命を受けた後の昨年10月13日、筒城浜キャンプ場付近で、同氏主催の野外イベント「縄文祭」を開催し、会場内は約1500人の島外者と、一部島内在住者を含めた多くの来場者で埋め尽くされた。

 しかし、このイベントが後日問題を巻き起こした。開催前日からステージ上に設置した巨大スピーカーによる騒音や、イベント終了予定時刻の午後11時を大幅に超える予定不履行、さらには会場となった広場の芝生傷みの修復の遅れなど、多くの市民の反感を生むことになった。また、「天の声を聞きメッセージを伝える」など、同氏のスピリチュアルブロガーと世間から言われる言動は、一部市民から「宗教色が強いのでは」と指摘され、この時から市観光大使に不適切ではないかとの論議が起き始めた。

 同年12月の市議会一般質問で、山内豊議員が「市や運営側は、住民への周知が足りなかった」とし、「市観光大使としてふさわしい人物とは考えていない」と否を示した。また、植村圭司議員は「市側から観光大使の任期や解任することが可能な見直しを」と要望し、指摘を受けた市は「市民からHappy氏やイベントについて賛否両論の意見があった。壱岐の魅力を発信してもらい今後の経済効果につながると思った。しかし批判的な意見があり、年度中に要綱を見直す」と答えた。

 市議会質疑を経て市は4月、市観光大使要綱を見直した。新たに「委嘱した日から3年を経過する日の属する年度の末日まで」の任期を設け、解嘱は「大使から辞退の申し入れ、死亡、長期間連絡が取れない、特別な事由があるときに該当する場合は、市長は解嘱することができる」に改正した。

 今回の要綱改正により、これまで15人に委嘱した市観光大使は、林田ひろみ氏(平成18年委嘱)、苅谷俊介氏(平成20年委嘱)など6人が任期を終え退任した。現在は、今年2月に委嘱した福岡よしもとに所属する寿一実氏ら4人など、計9人が市観光大使を務めている。Happy氏の場合は、市観光大使では過去に前例がない市長判断による解嘱となった。

 

※当紙の考えを超えた解釈で記事や意見が拡散されていますが、報道の立場から公平公正な目線で、事実を事実としてのみ伝えるようにしています。また、否定的に受け止められる内容は、取材からの民意を反映しているものです。ご理解をお願いいたします。(編集部)