2025.11.25透明性の先にある責任を

 市議会が、4月から8月分の政務活動費収支報告書を公開した。昨年施行の条例に基づき、5会派が提出した報告にはそれぞれの活動実績や支出内容が記されている。市民にとっては税金の使い道を知る貴重な機会であり、議会にとっては説明責任を果たす第一歩だ。

 政務活動費は、議員の政策研究や研修、広報活動などに使われる公費である。本市では会派所属の議員1人あたり月1万円が支給され、会派単位で管理・報告する仕組みをとっている。支出は9項目に細かく定められ、領収書の添付が義務づけられている。制度としては整っているが、運用面では会派ごとに活動内容の濃淡があり、市民から見ればその違いが分かりにくい。

 報告によると、最大会派の壱心会は要望活動に44万円超を支出し、一部を個人支出で補填した。緑水やIKI未来などの少数会派は、研修や資料購入費を中心に数万円規模の支出。公明は支出ゼロ、日本共産党は議会報告の折り込み広報費を計上した。それぞれの使途に不適切な点は見られないが、報告内容から活動の成果や目的がどこまで伝わるかは疑問が残る。

 政務活動費をめぐっては、全国的にも不透明な支出や誤用が問題化してきた。本市では条例整備を進め、公開体制を整えた点は評価できる。しかし、単に数字を並べるだけでは「透明性を確保した」とは言えない。市民が納得し、信頼できる説明があって初めて、真の公開といえる。

 市民の関心は「何にいくら使ったか」ではなく、「それが市政や暮らしにどう役立ったのか」にある。報告書の提出は制度上の義務にすぎない。議員一人ひとりが、活動の意義を自らの言葉で説明する姿勢を持たねばならない。

 議会は行政の監視役でありながら、自らも公金を扱う立場にある。その自覚を持ち、説明の丁寧さで信頼を積み上げることこそ、民主主義の根幹であり、開かれた議会への第一歩だ。そこに誠実さが伴うかどうか。議会の真価が問われている。

 そろそろ市民に向けて通常通りの議会報告会を再開してはどうか。市議会条例にも「年度1回以上開催」と記されているのだから。