2025.8.05観光地の管理は市の関与が必要

 長年、大浜海水浴場(石田町)を守り続けてきた地主が所有する大浜の土地が第三者の手に渡ったとして、環境保全活動や夏季の海の家運営などを提供している「壱岐島砂浜会(宝来浩利代表)」は、「無秩序な転売や大規模開発に反対する」と声をあげている。

 大浜海水浴場は、本市を代表する観光地。海水浴だけではなく、美しい貝殻などを拾い集め楽しめる、重要な観光地として市民ならず来島者からも愛され続け、国定公園にも指定されている。

 国定公園とは、「日本において国立公園に準じる景勝地として自然公園法に基づいて環境大臣が指定した公園。国立公園が国の直接管理なのに対し、国定公園は都道府県が管理する」とされている。当然、土地の売却や土地の開発にはいくつかの制限や手続きが必要となる。

 今回、該当する土地の登記を調べたところ、先月2日付で旧所有者から新たな所有者に贈与されていた。第三者の手に渡ったとあるが、本市在住者だった。壱岐島砂浜会によれば、旧所有者は「開発は望んでいない」と話していたという。ひとまず安心といったところか。壱岐の観光や歴史、文化を見続けてきた彼らが、一方的で強硬な土地売買や開発を行うとは思えない。仮にその考えがよぎったとしても、思いとどまると信じている。

 今回の件で驚いたことは、大浜海水浴場前の道路と以前海の家があった場所、海水浴場砂浜の陸側はすべて個人所有の土地であったこと。万が一、所有する土地全域を開発した場合、一般の人は大浜海水浴場を利用できなくなる。海水浴場への侵入口も閉鎖の可能性がある。避けるべきは、大規模な開発と海外資本への売却だ。島の歴史を知らずに一方的な開発に向かうかもしれないからだ。

 本来ならば、島を代表する観光地は市の管理のもとに運営されるべきではないか。可能ならば、市が土地を買い上げて管理するくらいの考えをもたねば、大浜に限らず他観光地も売却の対象になり、その場合、市の観光地としての損失は計り知れない。島の景観は未来永劫、守りつないでいきたい。