2023.10.24死亡の根本原因となる究明はせず

 イルカパークのイルカの相次ぐ死亡の最中、同園に新たにイルカ3頭が搬入された。地域住民の情報によれば、12日午後に到着し、現在はすでに園内で元気に泳いでいるという。

 この記事を書いている16日現在、ようやくマスコミに対してイルカ購入と搬入の報告が届いた。市議への報告は先週末時点で、市から各議員に配布されているタブレット端末へ報告書が届いていたという。議員への報告から4日過ぎてからのマスコミ報告だ。この時間差は決して迅速だとは思わない。

 これまでの行政の報告や説明、イベント告知に至るまで、市からマスコミや市民への報告や告知が足りていないというのは頻繁にある。市に問い合わせて、初めて知ることになる案件は枚挙にいとまがない。はっきり言わせてもらうが、市民への報告の不備は、現市政の大きな欠点でもある。透明性を感じられず、即刻改善すべき点だ。

 今回、なぜここまで厳しく指摘しているのか。それは、イルカ購入について市民の反響や意見が多いからに他ならない。迅速な報告や説明こそが今は求められる。

 今年に入り同園のイルカが立て続けに3頭死亡、そのうち1頭の死亡は購入するか否かの審議をする先月28日、予算特別員会の前日の同月27日に起きている。通常で考えれば、予算審議に大きく影響しそうなものだ。しかし、議会は購入について市の提案を理解し、賛成多数で採決した。この判断に多くの市民は疑問を抱えた(当紙調べによる)。市、議員ともに、市民の声は届いているのか。市民の注目度の高さは理解していたのか。

 各議員に届いたイルカ購入の報告書には、水質、海底汚泥調査を行った結果も記載されているそうだ。結果には一切問題はないという。これも言わせてもらうが、水質や汚泥に異常がない状態は当然だ。もしも異常が検出されれば、同園の存続どころか、1995年の開園時の体制にも問題提起が及ぶ。異常がないことを前提にこれまで運営を進めてきているはずだからだ。

 現在、何が問題なのかというと、立て続けにイルカが死亡している事実をどう考え、原因を究明するか。水質や汚泥に異常がないとなれば、別の角度から検証し原因を突き止めての改善が新規購入よりも優先されるべきだ。水質や汚泥に異常がないから大丈夫だなどと、どうして言えるのか。市民の中には「現在の1頭のイルカのままでは、このイルカの健康状態に影響する」と理由を言う者もいる。そうであれば、しばらく島外の他園に預けるなど専門家の意見を交えた議論が必要なはずだ。

 今後も死亡した場合、再び数百万円から1千万円近くの予算を上げ、新たに購入し解決するのか。明確な原因究明こそが今、すべきことだとなぜわからない。再び民意と行政のずれが表面化した、現市政の欠点が垣間見える。