2019.1.29市の任命等には責任を
人気タレントが司会をするテレビ番組で、昨年10月に開催した本市観光大使Happy氏によるイベント「縄文祭」を取り上げた17日の放送後から、市民やインターネット上などで再び話題となっている。
同イベントは開催日前後から市民への周知不足による混乱や、市観光大使によるイベントでありながら、市の対応や協力体制に多くの疑問を生んだ。またこれまでの本市観光大使と比べ、市との関係性が露骨なまでに現れ、厳しく言えば関係そのものが無かったことにしたいかのように現在は感じる。
度々市長の発言や報告にあるように、本市は観光の振興と全国的な知名度向上などの考えから、全国ネットのテレビや雑誌などのメディア活用を重要視し、積極的に進めてきた。昨年、テレビ放送された人気グループTOKIO出演の「鉄腕ダッシュ」や、NHK「のど自慢」など、他の島内観光地巡りの番組も含めるとメディア露出は数多い。それは言い換えれば、メディアの効果と影響力を知っているからに他ならない。
無論、メディア効果は他自治体も十分に理解しているからこそ、積極的に番組サイドにアプローチし、観光大使はなるべく全国的にも著名な人を任命している。本市も俳優の苅谷俊介さんを含め、11人の観光大使がいる。
その本市観光大使の活動に、初めて物議を醸すことになったのが、昨年10月に筒城浜キャンプ場で縄文祭を行なったHappy氏になる。問題となった理由の一つには、同氏の肩書であるスピリチュアルブロガーが、はたして観光大使に適切かどうかだ。スピリチュアルは宗教色があると捉える人もいるようだ。任命の適正さは昨年12月の市議会一般質問でも「ふさわしいと思わない」と発言があるように、市を巻き込んでの議論となった。
観光大使批判に対して同番組は、白川市長に電話取材を行った。白川市長は「ここまでスピリチュアルをしているとは思わなかった。調査不足だ」とし、イベントへの批判は「詳しく説明をしなかった運営側と市の落ち度。今後は検証する」とコメントしている。これに対して番組司会者は「もう、政治家の話し方だ」と苦笑いしていた。
島外への宣伝や、市の看板を背負って活動する重要な役割の観光大使任命に、テレビ番組で「調査不足」を理由にするとは、あまりにも情けなさ過ぎるのではないだろうか。現代は情報化の社会だ。ちょっと時間を割いて調べればある程度のことは調べが付く。市の看板を持ち、重要な役を担う任命選定に、安易さは無かったのか。そもそも本当に任命のための調査等はしていたのか。
極論になるが、Happy氏が一般人の一人として、壱岐好きの女性がイベントを開催したのなら、例えスピリチュアルブロガーであろうが、ここまで問題にはなっていない。しかし市は同氏に観光大使の役目を与え、イベントの後援にも付いた。一連の問題を追求するなら、市側にこそ責任があるのではないか。「任命の責任、イベント許可の責任、後援の責任」、そして「周知不足の責任、調査不足の責任」、さらに「行政人たるものの業務責任」だ。
この島にマイナスを生んでどうするのか。欲は言わない、きちんと当たり前の仕事を当たり前にこなしてくれれば、必ず島にプラスを生む。(大野英治)