2018.6.19今こそ市民への説明をすべき時
今こそ市民への説明をすべき時
平成28年4月の市長選で、相手候補者を応援したとして入札指名から除外を受けていた市内建設業者の元社長が、平成28年12月16日付で白川博一市長と中原康壽副市長を、公務員職権乱用罪(刑法193条)で、長崎地方検察庁に告訴状を提出。今年1月27日付で、長崎地方検察庁が受理していた案件は、証拠不十分として今月1日付で不起訴とされた。
ことの経緯は、市長選で相手候補者を応援したとして、当選後にその応援した業者を入札指名から外した。除外措置を受けた業者の元社長からの「なぜ外したのか」の問いに、白川市長は「選挙戦で白川陣営の反対側に立ったことから、信頼関係を失った。よって入札から外した」と答えている。
訴状には「民主主義の根幹をなす選挙で、首長の市政運営を批判し、対立候補を支援したことを理由に、競争入札で指名回避できるのであれば、選挙権及び政治活動の自由といった人権が制限される。選挙全体が自由かつ公正に行われず、恐怖政治に支配される状態となる」「他候補者を支援した業者に対する嫌がらせ」などとしていた。
この刑事告訴は市議会一般質問の場でも度々議論された。平成28年9月の市議会一般質問で呼子議員は「対立候補の応援をしたことによる報復として入札資格者除外措置をしたのではないか」と追求したが、「入札除外を指示したのは私だ」と事実を認めたものの、「詳細は司法の場で話していく」として多くを述べていない。
また平成29年3月会議の一般質問では、3人の議員が質疑をしている。質疑ではそれぞれ「選挙の投票行為で、50年も60年も前に地方自治体で行われていたような愚行だ」「市政倫条例の『いやしくもその地位による影響力を不正に行使して…』に抵触していないか」などと市長に詰め寄ったが、この時にも白川市長は「係争中であり、司法の場で話す」と答えている。
また平成29年4月から3回にわたり、市民から「職務上、不正に疑惑がある。また説明責任を果たしていない」と追求され、市政治倫理審査会が行われたが、その時にも白川市長は「説明は司法の場だ」と述べている。
結果的に不起訴になったことで司法の場の説明はない。しかし当時からこの件は市民の関心が高く、市長の説明は議員だけでなく島内外マスコミも求めてきた。市長は当初の告訴受理の段階で、マスコミ各社の質問に「捜査中であり、然るべき時が来たら話す」としていた。そうであれば不起訴が決まった今がまさにその時ではなかろうか。
今回の地検の判断で一つ大きな前例ができた。全国すべての自治体でも、選挙に絡んだ入札指名外しを行っても何も問われないということ。これは地検が認めたことだ。この判断はこの先の選挙に重くのしかかってくることになる。(大野英治)