2019.6.25二転三転の変更に判断能力を疑う
またしても市議会で審議を重ね採決した案件が遂行されない事案があった。しかも、もっとも影響を受けるのは子ども達になってしまう芦辺中新校舎の件だ。市議会6月会議で、市長の行政報告にあるが、建設が遅れ、3度目の完成延期になった。また、昨年には例年の猛暑による生徒らの体調と健康を考慮して、市内小中学校普通教室に、6月末までにエアコン設置が決まっていたが、これも今回の議会で設置延期の旨が伝えられ、7月末の見込みとなった。共に教育現場に関する事で、市教育委員会が陣頭に立ち進めているものだ。
芦辺中新校舎建設は、建設予定地の決定に至るまで地域住民や学校保護者らを巻き込んだ。校内で説明会を行うなど、市教委の決定を覆し二転三転の末に現在の建設地になる旧那賀中跡地に決まり、新校舎完成を今年3月末とした。予定地や工期の決定を経て新校舎建設に着手するが、当初予定の3月末完成は難しいと判断し、市教委は市議会3月会議で7月末までの延期を求め、市議会は上程案を可決、7月末の完成を決めた。そして今回、2度目の工期決定にも完成のめどがたたず、さらに8月末の完成を提示した。当初、教育長は市議会で「芦辺中の新校舎は新学期の入学式から」と3月末完成を掲げていたが、実に3度もの工期見直しとなった。
市教委は、一昨年の土砂災害等による影響で人員不足を度重なる延期の理由とするが、工事現場関係者や建設業者との状況判断や打ち合わせはできていたのか。一度ならず二度三度となれば約束事は約束でなくなり、業務における判断能力を疑う。当紙が調べた限りでは、工事現場関係者は上からの指示で、必死に間に合うよう工事を進めていた。現場に非はない。ならば机上のみで工期を決めた判断能力が理由になる。そして、再度繰り返すが、もっとも影響を受けるのが、新校舎完成を楽しみにしている子ども達だ。
小中学校のエアコン設置にも同じことが言える。昨年の市議会9月会議で、市教委は今年6月末までに普通教室へのエアコン設置を完了するとした。しかし、機器不足等の理由から予定までに間に合わないことがわかり、今回の議会で7月末の設置完了を公表した。しかし、県内の他小中学校もエアコン設置の動きが進み、機器の不足は昨年の段階からわかっていたはずだ。ならば、なるべく早急に機器の手配を進めるか、機器不足が各学校設置に影響があることがわかった早い段階で、すぐに工期変更すべきだ。
夏の猛暑は、梅雨時も含め湿度による熱中症が問題視されている。また、エアコン設置は夏休みに入る時期と重なり、主に教室を使う機会は残暑となる9月からになる。設置が7月後半予定の教室は、もっとも必要な時期に暑さを我慢せねばならない。やはり、もっとも影響を受けてしまうのは、教室を使う子ども達になる。
別の案件でも言ったが、市議会決議が軽視されていないか。あるいは市職員と議員の関係性が馴れ合いになってしまい、行政をチェックする市議会本来の機能が果たされていないのではないか。学校問題は、とにかく子ども達が関わり影響の矢面になる。子どもの道徳教育にあるように「約束は守ろう」とまで厳格には言わないが、せめて現実に即した判断は有してもらいたい。度重なる二転三転は能力を疑う。子ども達の期待に水を差す行為にもなる。(大野英治)