2019.9.17プラスを呼び込む戦略に

 市議会9月会議の行政報告で、本市と福岡市を繋ぐ役割を担ってきた、福岡事務所が今年度末に閉所される見通しとなった。変わって、東京都内に東京事務所を開設する運びという。このことは、同議会の一般質問で2人の議員が質問通告をしていることから、今後何らかの詳細説明か申し入れがあるだろうと推測される。

 

 福岡事務所は平成24年に博多港ベイサイドプレイス内のフロアを事務所とし開所した。約8年間にわたり壱岐市と福岡市の橋渡しや、壱岐に向かう観光者への案内など島外出張所の拠点となった。その後、博多駅前に事務所を移し、福岡市内にある飲食店などを回り、壱岐焼酎や食材を扱う店と協力応援店として連携し、観光PRを展開していった。さらに、福岡壱岐の会の活動拠点としても活躍した。今後は市ふるさと商社がどうなるのかの動向も気になる。

 市の施策では、本市から最も近い都市圏であり巨大都市の福岡市との関係強化は度々言われてきた。インバウンドや福岡市を中心とした離島連携、経済圏の密接さなど、本市の経済と観光施策では最重要な地であることは間違いない。また、福岡事務所開所から積み重ねてきた実績もある。

 

 行政報告では、福岡事務所開所から一定の実績を挙げ、今後は本市から船で通っても活動に支障はないという。あえて言うが、そうならば今までの約8年間も同様に事務所を開所せずに船で通っても良かったのではないか。しかし、これまでの働きを見れば、無駄と思えることは少ない。むしろ必要性は増している。

 どう言う経緯で東京事務所を開所し、福岡事務所を閉所する運びになったかはわからないが、もったいなさすぎはしないか。現在までに市から明確な戦略は聞こえてこないが、市議会一般質問や議会内説明で伝えてほしいものだ。

 

 何が言いたいかといえば、一つひとつの施策は、明確な戦略に基づいて先々のメリットとデメリットを考えて進めてもらいたいという事だ。行き当たりばったりや気まぐれ、あるいは周りからの提案を精査せずに進める「何でもあり」な運営だけは止めてもらいたい。深く考えずに何でもありのやり方が、後々に足を引っ張られることは身を持って知っているはずなのだが。降って湧いた話を受け「何でもあり」の状況は、「何も考えていない」「何も案がない」とも受け止められる事もある。

 島外事務所の件は、深く精査した上で、壱岐にとってプラスを呼び込む戦略と信じたい。(大野英治)