2024.10.22なぜ重要な施設なのかの説明を
前号掲載のイルカ死因の検証で、複数の市民から同施設の存続や今後を含めた意見が届いている。現在ではあくまでも仮説の域を超えないが、「海底の硫化物」「表層の塩分濃度の低下」などが推測されている。
十数年前までさかのぼる同施設の詳細なデータがないことから、記者が見てきた記憶にはなるが、以前にもイルカの死亡は起きていた。当時は地元の観光と街の情報をメインとしたタウン情報誌「アイランドプレス」を発行していたので、現在のように死因を追求するような取材方法ではなかったが、当時は湾内に流れ込んできたビニールなどの誤飲もあったようだ。死因は解剖の結果で判明していた。他にも、原因がよくわからない死亡もあった。
数年前には、施設近隣の埋立地から産業廃棄物のごみが現れてきたこともあった。施設を建設するために、湾を埋め立てた土砂に混じっていたことも、その後の現地調査で分かった。ただ、市が定期的に行う調査では、産廃による水質の悪化は見られないとした結果も公表された。しかし、イルカの死亡は続く。
当紙に寄せられた意見には「施設を作った当初の頃から、勝本の地域ではこの場所にイルカの飼育は無理だと話していた。今回発表された仮説は、その証明にもなる」「イルカパークは市にとって重要な施設だと市担当者は言うが、市民にとってはイルカ飼育よりも市民憩いの公園とする方が余程まし」など、市の考えに反する意見が多い。
松本順子議員は市議会9月会議の一般質問で、「和歌山県太地町のイルカの追い込み漁は残酷を極める。観光のイメージアップを目指す市の方針に相反するもの」と言う趣旨の意見を述べた。イギリスBBCの日本メディアは「太地町でのイルカ漁は、2009年公開のドキュメンタリー映画ザ・コーヴで描かれ、世界的な注目を集めた。太地町のイルカ漁は国際的批判を深めている」としている。
ちなみに昨年、イルカパークのイルカ数頭は太地町のイルカ漁によって捕獲され、本市に運ばれている。市は死因検証とともに、何を持って重要な施設だと言い切るのか、説明すべき時期にいるのではないか。