2020.2.11「次期市長選」まずは選挙公約公表を待つ

 選挙の公約は候補者自身の看板であり、一票を投じる大きな判断材料となる。そのため、候補者は「わかりやすく、現在の情勢を的確につかみ、有権者は何を望んでいるのか」などを敏感に読み解き訴えていかねばならない。

 4年前の市長選で、白川市長は7つの公約を掲げた。子育て支援などは国政の施策による関係や、木質バイオマス発電はその後の調査検証で不可となったものもあるが、形として見えてきたものは多い。

 しかし、実現したものの中には既定路線だったものもある。有人国境離島法に付随する雇用拡充事業は、本市政が無関係とまでは言わないがほぼ国政の方針によるもの。4庁舎の耐震化工事は、新庁舎建設断念時からわかっていたことだった。福岡市との観光協定締結は、選挙公約以前から進んでおり、投開票前に「福岡市・九州離島広域連携事業」を発表した。壱岐ウルトラマラソンの開催も、選挙前から計画が進行していた。こうやってみると7項目の公約のうち、3項目は既定路線、2項目は実現不可だった結果が見える。

 ただ、そのことを批判する気はない。既定路線だった項目は当時の現状推進の一環であり、不可だったものは検証、あるいは国政との絡みの末の結果であり、大筋は公約実現に向けた施策を打っていたと思われる。

 4月12日投開票の次期市長選では、森俊介氏が内容には踏み込んでいないが、一足先に公約に含む案を示したチラシを作成した。その内容は、「島外に流れている事業による無駄な税金を島内で循環させる」「市民との対話を設け、情報公開を積極的に行う」「市職員が今以上に働きやすく力を発揮しやすい環境を作る」「壱岐の魅力が伝わっていない。情報発信の強化」と4つの項目から、「現市政はもったいない施策をしている」とした。おそらく今月中旬までには、この4項目をベースにした公約が公表されると思われる。

 現職の白川氏も現在のところ、公約を掲げる動きは見せていない。しかし、前回選挙時の動きから見ればおそらく近日中、もしくは数日中のうちに公表されるものと予想する。公約内容も前回時の推測から考えれば、現状の推進案をベースに、SDGs未来都市に関するもの、気候非常事態宣言に関するものが含まれると予想される。

 両氏がどのような公約を掲げてくるのか待ち遠しい。公表後は選挙に向けてしっかりとした検証をしていくつもりだ。(大野英治)