2024.8.06離島航路維持に向けた国や県の方針に期待

 東京と伊豆諸島を結ぶ高速船ジェットフォイルが先月24日、千葉県の房総半島沖で機関故障のため一時漂流した。航行不能に陥ったのは東海汽船の「セブンアイランド愛」。同船は東海汽船が保有するジェットフォイル4隻の中で最古参になるそうだ。現在、日本国内でジェットフォイルを運航しているのは九州郵船、九州商船の他に東海汽船、佐渡汽船、隠岐汽船、種子屋久高速船で、合計船数は約20隻。いずれも竣工から20年以上が経過した老朽船で、唯一、2020年7月に新船を就航した東海汽船の「セブンアイランド結」を除くと、他のジェットフォイルはリプレイス(更新)が課題となっている。

 今回、房総半島沖で漂流したジェットフォイルは、1980年10月竣工、運航は2002年、すでに40年以上も使われ続けている老朽船になる。他の航路では1979年竣工もあり、全国離島航路の維持における課題となっている。ただ、これまでにも言われてきたように、物価高騰や円安などの影響による建造費の高騰はいかんともし難い。つい数年前までは50億円ともいわれ、驚きを隠せなかった建造費が、現在では70億円にまで跳ね上がっているとも聞く。

 2020年に建造した東海汽船の新船以外は、1990年代以降、新船建造が行われていない。このことからジェットフォイルを建造する川崎重工の技術的ノウハウが失われてしまう問題と、東京都から船価の45㌫に当たる約23億円の建造補助を得て、さらにエンジンなどの主要部品も従来船のものを流用するなどしてコストを抑えたことなどから、数十年ぶりに新船建造に漕ぎ着けた経緯がある。

 ジェットフォイルの機関故障による漂流は、本市でも起きている。昨年12月12日、九州郵船の高速船「ヴィーナス2」が芦辺町左京鼻から北方約1300㍍の地点で機関故障により停止、乗客は大人46人、子ども1人、乗員が5人の計52人がしけの海上で約2時間漂流した。当時の乗客は、船は大揺れし船内の1階部分に海水が流れ込むなど一時パニックになったと話している。

 ジェットフォイルの機関故障の原因が老朽化であることは否めない。船舶に詳しい有識者によれば近日中にジェットフォイルの今後の方針に何らかの進展があると聞く。多額の予算が伴うことから、国が方針をまとめ県に通達するという。本市にとって福音であることに期待したい。