2025.6.09防災食の備蓄率は6割以下
安全靴や作業着などを販売するミドリ安全は3月、20歳から49歳の全国の母親800人に対して家庭の防災対策実態調査を実施し、「家庭での防災への取り組みや防災食(非常食)の備えについての実態調査」を公表している。
調査では、災害対策のための非常食を自宅に備えているかについて、「家族全員が3日以上対応できる量を備えている」の回答は16・9㌫、「家族全員が1~2日対応できる量を備えている」は28・0㌫、「備えてはいるが、家族全員が1日以上対応することはできない」は14・1㌫で、防災用の非常食を少しでも備蓄している方は合わせて59・0㌫だった。調査開始の2018年以降、6割未満の状況が続いていることがわかった。
地域別備蓄率では、中部地方がもっとも多く76・0㌫、九州沖縄地区はもっとも低く42・0㌫。備えていない理由では、「お金がかかる」が約3割を占める。
2024年8月には「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」が発表されるなど、大規模地震への警戒感が強まった。広範囲・長期間にわたって影響が及ぶ大規模地震への意識や対策は、「非常に意識し、対策も考えている」と回答した人はわずか14・1㌫、「多少は気にしているが、具体的対策は不十分」が46・2㌫ともっとも多く、「あまり意識していない」は28・1㌫だった。
調査から、防災食の備蓄率は6割に届いていないこと、備蓄をしない理由は費用がかかること、中部地方から以北は能登半島地震や東日本大震災などの経験から、比較的備蓄率は高いが、九州などは意識の低さが顕著に示されている。
各自治体の状況では、内閣府のデータをもとにした食料、水、暖房器具、トイレなど50項目の備蓄状況に「6割で簡易トイレなど主要8品目のいずれかがゼロだった」とある。避難所環境でのトイレの不足は大きな課題だ。
これらのことから当紙は今回、市に災害時の備蓄量を問い合わせた。毎年、県が公表する県内自治体の備蓄状況で、本市のみ食料欄が空白だった不安もあったからだ。市の回答は1面記事にある通りで、備蓄に関してはひとまず安心はした。しかし、市担当課の把握に疑問が残ることにはなった。
「市民の安心安全は行政の責務」。前市長は強く市職員を指導してきた。新市政となりこの市長方針はどこかに消え去ってしまったのか。