2024.12.10謙虚に市民の意見を聞くべき
勝本町のイルカパーク&リゾートの今後のあり方について、本紙には市民からもいくつかの提案や意見が寄せられている。本紙に意見が届くということは、同施設を運営している市にも当然、意見や要望、中には厳しい指摘などが届いていると想像する。
同施設に関してはイルカの死亡が相次いだ時から「施設を継続すべきか否か、死亡したイルカの検証がないまま新たなイルカを購入すべきか、そもそも、同施設の環境はイルカの飼育に適しているのか」などの意見が寄せられている。
3回に及んだイルカパーク管理・環境等検討委員会は、先月に結論をまとめ「イルカパーク飼育下のイルカは海外などの例と比べ寿命が比較的短い。死因の推定は、肝機能不全が一因している。施設と飼育環境などの整備が必要。死因究明のため、今後も継続した調査を求める」などと報告し、予定された委員会を終えた。市は「イルカパークは必要な施設。施設整備の費用など予算を伴うものは議会に予算計上で諮る」と答えた。
以前の社説でも当紙の意見を述べたが、これらの状況は、もはやイルカ飼育のための施設として適切なのか。むしろ、他にも有効な施設活用があるのではないか、と思う。
4月の市長選候補者だった、森俊介氏の公約を振り返る。イルカパークを新たな施設として生まれ変わらせる「釣り堀、海人体験併設・海の図書館構想」が、当紙に寄せられた意見に対する回答、同施設の今後のあり方のように思える。
公約には「釣り堀は、雨よけを設置し雨の日でも観光客に利用できるように。釣った魚をさばく体験教室や、冷凍輸送するサービスを。壱岐伝統の海女体験も」など、イルカに依存しない施設を提案していた。図書館併設の構想は、佐賀県武雄市などで集客の実績もある。
思い返せば、市長選はどの候補者も拮抗し、当選した篠原一生市長も2万197人の有権者数に対し4790票と過半数には程遠かった。わずか24㌫ほどしか支持を得ていないとも言える。最近まで地域住民と意見が食い違い、納得いく解決に至らなかった柳田保育所閉所問題や、イルカパークについての住民意見など、決して無下にできない。過半数に至らず当選した首長は、強引な進め方をすれば多くの反発も買いやすい。
いまさら市長選の公約を持ち出すのかと異論もあろうが、拮抗した選挙では当選しなかった候補者にも一定数の支持が残される。他候補の公約をなかったかのように打ち消すのはもったいないことだ。