2025.5.11観光の再建に本気で取り組む時
市は、3年後までの観光戦略を公表した。先に策定した市総合戦略では、人口減少に歯止めをかける内容が盛り込まれ、市観光戦略では交流人口増に向けた施策などが盛り込まれた。策定には事前に素案を公開し、意見公募による市民の考えも参考にしているが、的を射たものが多く見受けされたので、その中のいくつかをピックアップした。
特に「壱岐新時代」について厳しい意見があった。「壱岐新時代における総合行政としての観光戦略になりえていない。また、総合計画とは何かを観光課が理解できていない。政策企画課等の総合調整を担う課がグリップを効かせておらず、熱意は理解できるものの、観光面において全庁的に横串しを刺して未来を見据えた内容にアップデートする必要があると指摘せざるを得ない」。
「壱岐新時代は、市役所の中にいる人だけが享受するものではなく、壱岐市民自ら作りだすもの。壱岐新時代をともに作り上げる仲間を島外から呼び、なおかつ、自費でやってきて壱岐島内に外貨をもたらす人たちを、形の上で観光客と呼ぶものなのではないか。観光客に響く壱岐新時代の観光戦略として、もっと練り上げてほしい。その検討の土台としての、課が提案する素案にはなりえていると思うが」。
「観光審議会等の市民参画を実装し当事者意識を持つ市民・事業者の育成を行う。市民や事業者に観光で稼ぐ意識を醸成させる機会と位置付けることで、市が描く観光戦略と歩みをそろえる体制整備を行うべき」。
具体的な観光整備などでは、「観光案内版、音声案内、遊具など老朽化が目立ち、故障しているものも散見される。真に必要なものは修繕すべきだが、旅行で来る観光客の大半がスマホなどをもっているので、オンラインでの情報発信など、ハード面のインフラ整備は、必要最低限にとどめるべき」などあった。
観光の現状の評価はさらに厳しい。「本市の観光客の現状は県内他地域と比べ、厳しい状況下にあると言わざるを得ないが、観光客の減少傾向はコロナ以前からであり、コロナの影響だけとは思えない。本戦略を起草するにあたり、数々の調査資料などのデータをどのように解析して、何が原因なのかを徹底的に論議されたのかよくわからない」。
「戦略を実行する現場のプロ不在の中、具体的な方法、対策がこの10年来のやり方とほとんど同じでは、目に見える結果が現れにくいのではないか」。
無論、内容に賛同する意見も多々あるが、厳しい意見の中にこそ今後の課題が示されている場合は多い。観光は本市産業の要。のんびりと構えている時ではない。