2025.9.01県内で2番目に多い空き家率
年々、問題視されている「空き家問題」。本市においても、増加傾向にあり社会問題の一つとして懸念されている。民間の調査会社が公表した本県の空き家率・空き家数の調査によると、本市は県内で2番目に高い空き家率だったことがわかった。令和5年度最新版によると、もっとも空き家率が高い市町は新上五島町の31・63㌫、次いで本市の25・47㌫。本県の空き家数は11万3千戸、空き家率は17・25㌫で全国12位、全国平均の13・84㌫と比べて高い率になっている。
民間の調査とは別に、本市では5年に一度、「市空家等対策計画」として市内の空き家調査を行なっている。前回は2018年に調査結果をまとめ、2016~17年までの実態調査を公表し、市全体で1017件の空き家を確認した。件数は年々増加傾向にあり、市が行った前回調査は約8年前になることから、市による早急な調査が求められる。
空き家の実態を担当する市建設課は「本来、5年おきの調査が諸事情により遅れている。令和7度に新たな調査を実施する予定。実際に、空き家に関して老朽化による危険や、解体に関しての補助金申請の問い合わせも多い。現状から見て空き家は増加傾向にあると思われる」と述べた。
本市を含む離島地域は、特に少子高齢化や若年層の島外への移転などで、空き家が急増している現状にある。さらに深刻なのは、誰も維持管理することがない「放置空き家」だ。建物の倒壊や火災などの安全性の問題、ごみの不法投棄は言うまでもなく、不審者の無断侵入などは犯罪につながりかねない。地域住民による周辺環境の維持にも限界があり、高齢化などで目が行き届かない問題もある。
空き家率と連動するように、本県の放置空き家率も新上五島町で26・70㌫。次いで本市の22・34㌫。本県は全国的に空き家や放置空き家が多い中にあるが、その県内において、新上五島町と本市はさらに深刻な空き家問題を抱えていると考えられる。
国は「空家等対策の推進に関する特別措置法」により特定空き家などへの対策を強化しているが、所有者不明や相続放棄による管理者不在の空き家も多く、対応が難しい状況である。空き家の発生予防と利活用促進の両面からの対策が急務となっている。
県は、平成27年度から「ながさき空家相談窓口」を設置し、空き家の活用や管理に関する相談対応を行っている。また、2023年12月の法改正により創設された「空家等管理活用支援法人」制度を活用した「長崎空き家deミライ創出事業」を立ち上げた。県内7社の支援法人を指定し、空き家の利活用や管理、相談対応、普及啓発などに取り組んでいる。
市は、空き家を売却または賃貸したい所有者と、購入または賃貸したい移住者などをつなげる「空き家バンク制度」や、移住者向けの補助金制度として空き家の改修費用の一部を補助する「空き家バンク活用促進補助金」や、移住者が空き家バンク登録物件を借りる際の家賃を補助する「移住者賃貸住宅家賃補助金」などが提供されている。