2026.1.26甘さが残る不祥事対応を問う
昨年、市職員による公金横領事件を受け、市は行政責任を示すとして、市議会12月会議に市長と副市長の給与を1か月間、それぞれ10分の1減額する条例案を提出した。しかし、採決の結果は反対多数で否決された。議決後、市に見解を求めたところ、「否決は今後の再発防止に努めよとの意味として受け止めている。改めて減給案を示す考えはない」との回答だった。
市議会で多く指摘されたのは、事件が発覚するまで横領を防げなかった管理体制の問題である。「個人の倫理観だけで片付けるべきではない」「不正を見逃した組織構造にこそ踏み込むべきだ」といった声が相次ぎ、「減給という形で区切りをつけてしまえば、問題の本質があいまいになる」との懸念も示された。
こうした議会の意見を受け、市は1月会議で、市役所本庁舎など4庁舎に自動釣銭機(キャッシュレス機能付き)を設置し、職員による現金の直接取り扱いを原則廃止する方針を示した。
14日の定例記者会見では、記者から「自動釣銭機の導入だけで再発防止は十分なのか。内部のチェック体制はどうなるのか」との質問が出た。これに対し篠原一生市長は、「職員による書類の偽造があれば、チェック体制を二重三重にしても横領が起きないとは言えない。職員が現金を扱わない仕組みこそが根本的な解決策だ」と説明した。結果として、公金横領という重大事件を契機に、約1200万円の予算を投じた機器導入が決まった。
だが、本当にこれで事件は幕引きとなるのだろうか。再発防止策として機材を導入すれば、管理監督者の責任は問われなくてよいのか。減給案を否決した議員数人に後日話を聞くと、「減給しなくてよいという意味で否決したのではない。わずか1か月、10分の1の減額で責任を果たしたことになるのか」「公金横領は刑事事件と同等の重さがある。市の対応はあまりに甘い」と厳しい声が聞かれた。
公金横領は、刑法253条の業務上横領罪に該当し、10年以下の懲役が科される重い犯罪である。しかし、市は刑事責任とは別に、行政トップとしての責任の所在を明確にしないまま、高額な予算を投じた機器導入を対策の柱とした。
こうしたあいまいな対応こそが、職員の倫理観を損ね、組織の緊張感を失わせる要因になってはいないか。市は行政運営の抜本的見直しとして「シン市役所化計画」を掲げ、前向きで主体的な姿を「シン市役所」と定義する。だが、責任の所在をあいまいにしたままでは、どれほど立派な計画も看板倒れに終わりかねない。改革の本気度が、今まさに問われている。
