2020.1.29次期市長選、「行政人」と「企業人」の戦いか

 次期市長選に向けた顔ぶれが見えてきた。市議会12月会議最終日の先月19日、現職の白川博一氏が出馬の意向を表明した。20日には、Iki-Bizセンター長の森俊介氏が出馬表明をし、次期市長選は現在のところ、一騎討ちの可能性が高まっている。

 白川氏はこれまで3期12年にわたる市長職経験を活かしたベテランとしての経験を武器にする。光ファイバーの整備や市民病院の県病院企業団への加入、有人国境離島法による航路航空路のJR並みの運賃低廉化と雇用の拡大などこれまでの実績を挙げ、自身でも「一定の成果を見た」と自己評価をしている。

 また、今後についても、SDGs未来都市モデル自治体の選定や、気候非常事態宣言を発したことから、「これからの新しい施策や連携協定の実を上げるため、道筋をつけることは私の大きな責務」と、出馬の理由を述べている。白川氏は、旧芦辺町時代から続く行政経験もあり、いわば生粋の行政人だ。

 一方で森氏は、約3年間のIki-Bizセンター長を務めた経験と、同センターで各事業者から聞いた生の声を今後の市政に活かしたいという。これまで約320社の相談件数や相談者数は、本市の実態を知る上では大きな武器といえよう。また、市政はこれまで「使った税金に見合う効果は現れていない、島外に流れる税金の見直しが必要。市民や市職員の声を聞き、独りよがりのお役所組織になることがないような市政を目指すべき」と、現市政に対して強烈なダメ出しを見せた。

 リクルート勤務や自身で立ち上げた事業など経験は多岐にわたり、全国的にメディアでも評価を受けている。いわば、生粋の民間企業人だ。また、PR手法には、絶対的な自信を見せる。

 「行政人」対「企業人」、「ベテラン」対「新人」、「現状推進」対「変化改革」の図式だ。白川氏は市内での各団体や事業者とのつながりを持つ。一方で森氏は、移住者ゆえにしがらみのない行動力を持つ。ここまで両極端な面が見えるのも珍しい。この極端な候補者を市民はどう評価し、一票を投じるのか興味深い。

 現在は2人の表明のみだが、この先、他候補者が現れる可能性もある。4年前の市長選では、現職の白川氏に対し、2月1日と同月8日に2人が出馬の意向を示している。その例からすれば、他に表明がある可能性は捨てきれない。ともかく、本市の財政状況や産業振興など喫緊の課題は多い。今後発表となる公約から判断していきたい。(大野英治)