2024.12.31期待通りの新市政だったか

 早いもので2024年も終わりを告げようとしている。今年の主な出来事と言えば、4月に行われた市長選であろう。4期16年の長期にわたった白川市政から新たに篠原市政が誕生した。篠原一生市長は「壱岐新時代」を掲げ、新たな本市を感じさせた。「一緒に前へ」のキャッチフレーズは、市民に寄り添う市民ファーストの期待も高まった。

 さて、市長選から約8か月を経た今、本市の実情はどうだろうか。篠原市政のあり方を象徴したのが、8月以降から地域住民や保護者が市に要望し続けた、郷ノ浦町の柳田保育所の閉所延期問題、へき地保育所の方針であろう。住民や保護者は、柳田保育所の必要性を訴え、緩やかなへ閉所に向けた要望を訴えた。一方で市は、「もう決まったこと」とし、方針を変えることはなかった。

 この案件は、現在の市政の考え方や市民への対応が適切なのかが大きく現れた事案だった。これまでに何度も記事にしてきたため、おおまかに記すが「市は市こども子育て会議へ、柳田保育所閉所についての適切な諮問と答申をしたのか。そもそも答申はあったのか」「なぜ、最新の答申といわれる文書を市民や報道に公表しなかったのか」「閉所条例採決前、なぜ市は各議員宅を訪問したのか」「5度にわたった柳田地区住民説明会で、住民の意見はなぜ通らなかったのか」「住民側が提出した請願では議会で採択されたが、ほぼ聞き入れられていない」など。挙げれば枠が足りないほどきりがない。

 市による市民へのこれら対応のどこに「壱岐新時代」「一緒に前へ」の姿があるのか。新市政への期待が高かっただけに、残念でならない。言うは易し、行うは難し。来年より篠原市長には、有言実行の姿を見せてもらいたい。

 希望ある明るい話題となれば、壱岐高野球部の躍進。秋以降、市民の話題は壱岐高野球部でもちきりだ。県大会、九州大会と進み、甲子園出場をかけた9地区推薦校に選ばれた。来月24日には最終決定がある。壱岐高野球部の活躍は全国にも知れわたり、本市の知名度向上にも貢献している。市の施策のどれよりも効果は高い。

 お世辞にも本市の経済、観光、人口維持などの実情は、他自治体との比較で見ても決して良い状況とは言えない。市民のがんばり、行政のバックアップと正しい判断力が自治体の力になる。言葉ではない行動が伴う壱岐新時代は果たしてできるのか、来年も引き続きチェックを続けるつもりだ。