2026.2.23方針は市民の理解と納得の上で

教育・保育の質を保つための集約化は避けられない

 市が進める「各町1か所の認定こども園設置」に向けた再編計画が、一つの節目を迎えている。市の方針に基づき、4月1日から勝本町の勝本・霞翠両幼稚園、および芦辺町の箱崎・瀬戸両幼稚園がそれぞれ統合される。2019年から「石田こども園」が稼働している石田町に続き、勝本と芦辺の両町でも統合の実績が作られた格好だ。郷ノ浦町には定員190人の郷ノ浦幼稚園があり、市は令和7年度から11年度までの5年間で、認定こども園を現在の1施設から2施設に増やす目標を掲げている。

 再編を急ぐ背景には、深刻な少子化問題がある。昨年の「市子ども・子育て会議」で示された児童数の実態は極めて厳しい。市立幼稚園の在園率を見ると、郷ノ浦が18・9㌫、勝本が20・0㌫、霞翠が24・3㌫と低迷し、箱崎10・0㌫や瀬戸12・9㌫、那賀11・4㌫、田河15・7㌫とほぼ2割以下だ。もっとも深刻な鯨伏幼稚園に至っては、維持することさえ困難な「1割台」の状況に陥っている。定員70人に対し園児はわずか6人、在園率は8・6㌫である。

 保育所でも、認可の武生水保育所が107・7㌫で定員を超過する一方、勝本57・1㌫や八幡55・0㌫のように定員の半分強にとどまる施設も目立つ。こうした数字が突きつけるのは、既存施設をそのまま維持し続けることは限界だということだ。

効率性だけで地域を動かしてはならない

 行政が肝に銘じるべきは、かつて郷ノ浦町の柳田地区に建設予定だった認定こども園や、柳田・志原両保育所の閉所で起きた混乱である。これらの事例は市民と行政の間に不信の溝を作り、近年まれに見る市民の怒りを招いた。これを行政の不作為や強引な進め方による失策と断じるならば、二度と同じ過ちを繰り返すことは許されない。

 保育環境づくりは単なる箱物の整備ではない。子どもたちの未来と保護者の生活に直結する。行政が方針を先走らせ、地域住民との間に認識の乖離(かいり)を生むことは公共の福祉に反する。現状、民間参入の見込みがない勝本町のような地域であればなおさら、行政にはより丁寧な姿勢が求められる。

 市は統合園での土曜預かりや給食提供の拡充など、保護者の要望に応える姿勢を見せている。篠原一生市長も準備の進展を強調するが、重要なのは説明の実績ではなく、市民が納得したという信頼の構築である。

 地域の宝である子どもたちを守るために必要なのは、一方的な押し付けではなく、真摯な合意形成だ。市は目標達成の前に、まずは市民との対話という土台を築き直すべきである。過ちに三度目はない。