2024.5.28市議は正しい見識と判断を

 へき地保育所閉所について、見直しを求める市民団体が署名活動を開始している。同団体は自らの主張の理解を求めるため、署名活動と並行して市議にも話を聞いてもらえるよう活動を進めている。しかし、その中で驚くような回答をした市議がいたことは、決して放置できない。以下はその内容だ。

 市民団体から相談を受けたある市議は、閉所に頭を悩ませる保護者の意見に真っ当に向き合うことなく「へき地保育所の閉所は計画的に決まっていたこと。へき地は施設が古く、環境が悪い。市と議会で決まってしまったものは覆せない。市側が方針を変えるしかない」という。さらに「私たち(市と議会)は、へき地の施設の古さなどいろいろなことを考えて子ども園新設の話をしていたのに反対派が現れた。現在の状況は反対派が招いた結果なので反対派に責任をとってほしい」という。

 もはや、怒りを通り越してあきれるほかはない。この程度の見識しか持ち合わせないのが現在の市議会だ。当然、理解ある市議もいるだろうが、議会は数の論理。同様にこの程度の見識しかない議員が集えば、間違った解釈で採決を迎える。これは、市民にとってマイナスでしかない。

 「認定こども園建設は反対派によってつぶされた。この結果によりへき地保育所閉所の問題が残された」と考えているのであれば、もはや議員などすべきではない。即刻、バッジを外して退場してもらいたい。この問題に限らず、他事案でも間違った解釈で市議会の審議が進んでしまうからだ。

 いまだ、正しい認識を持たない市議がいるようなので、今更にはなるが認定こども園建設の経緯と見直しを求めた市民団体の考えを示す。

 -同園の建設計画は2022年の市議会6月会議で突如、議案に上がった。市議会はスピード採決を強いられ、賛成多数で可決、工事着工に向けて計画が進められた。しかし、建設地が土砂災害特別警戒区域に隣接し、安全性などに疑問を抱いた市民は、建設予定地見直しの考えを掲げ、同年8月末に建設予定地に反対する市民団体が発足した。同団体は同年11月末までに集めた約3千筆の反対署名を市や同会に提出するなど反発の意思を示した。

 2023年、市議会定例会3月会議で白川博一前市長は、同園建設の事業者が撤退する旨を報告、事業者から受け取った撤退理由には「一部の市民や報道機関による偏った批判が度重なり、関係者も意図しない誹謗中傷などを受け、継続が困難である」などの理由を冒頭で述べた-以上が建設計画発表から中止までの経緯だ。

 しかし、市民団体が一貫して主張していた要望は「私たちは建設を進めることに真っ向から反対はしていない。ただ、建設予定地は園児たちにとって危険な場所であり、周辺道路は交通量が多い。よって予定地の見直しを願いたい」だった。この要求は事業者にも向けられ、市民団体は新たな建設地の提案とともに、現予定地以上の好条件(土地代など)を示した。しかし、事業者は一貫して当初予定地での建設を主張し、議論が交わることはなかった。

 この経緯と主張はこれまで何度も紙面で掲載してきた。そして多くの市民が理解していたと思う。しかし、一部の市議はこの経緯と主張すらも理解することなく、いまだ「反対派の責任だ」と馬鹿げたことを繰り返す。市議としての資質はどこにあるのか。だから、議会に対し市民から「きちんと仕事をしろ」などど、厳しい指摘を受けるのだ。一体何のために市議になったのか。職業として収入のためか、名誉のためか、自己顕示欲のためか。

 約1年後には次期市議選がある。おそらくそれまでに議員定数の議論も起きるだろう。選挙の時だけ良い顔を見せるが、その後は市の問題についての正しい見識すら持たず、必要な学びをしない一部の市議。市民を馬鹿にするにも程がある。繰り返すが、怒りを通り越してあきれるほかはない。審判は選挙で示される。