2025.6.30市民に寄り添う施策を
市議会6月会議が終わり、現市議による市議会が終了した。現市議最後でありながら、執行部が提案した議案は内容が薄く感じるものだったことは否めない。
執行部が提案した議案は、壱岐クリーンエネルギーの市所有株の譲渡、市公共住宅長寿命化計画の見直し、消防ポンプ車購入契約など7議案。すべての議案は可決した。
一般会計補正予算では、島外者に対し本市を拠点の一つとして捉えてもらうことで、関係人口拡大に向けた二地域居住の事業、公共交通計画の策定など約1億5千万円の追加補正。必要な事業ではあるが、物価高騰などで市民生活が困窮している今、何か物足りない。積極的かつ迅速で効果的な支援策がない。
唯一、補正予算に反対の意を示した山口欽秀議員の反対討論には、賛同できる部分があった。
「物価上昇で市民の負担は増大するばかり。漁師はしけが多く 出漁できず、漁獲も少なく、魚価も低く収入が減っている。農家は肥料や燃料など農業資材の価格高騰で負担が増えている。市民や事業所はガソリン価格の高騰が大きな負担となっている。市から送られてきた国民健康保険税納税通知書を見て、負担の大きさに驚きを超え、怒りさえ感じた」とし、市民生活の実情を述べた。
このような厳しい状況から「市民の負担は増大している。市民に寄り添うような支援はないのか」と市に問う。例えば、島原市や川棚町では定額減税調整給付金の不足額給付事業が6月議会に上程されている。令和6年度に本来もらうべき定額減税額で、届いていない市民に追加で支給する給付金だ。県内他市は市民に寄り添う支援策を講じようとしている。
2050年に人口2万人維持を掲げる市の総合計画に準ずる形で上程された二地域居住の事業は、本当に人口増につながるのか。交流人口は増えるだろうが、根本的な課題は本市に住民票を移した人口増だ。25年先の人口維持を見据えた計画で、ゆっくりとしたペースでの人口増を目指しているのかもしれないが、本市の現状は、そのような悠長なことを言ってはいられない。25年先よりも目の前の厳しさを切り抜けることが必要だ。
山口議員は言う。「市長が目指す一緒に前へ、壱岐新時代、ともに創る新たな未来などのスローガンにふさわしい、市民が幸せを実感できる具体的な施策がないのが残念だ」。現市議会最後の会議で、同感できる意見が聞けたのは、少しの希望かもしれない。