2021.12.14市民に向け「周知と説明」を

 本市周辺海域で洋上風力発電の導入に向けた検討と住民への周知を進めるため市と県は6日、第2回の協議会と勉強会を開いた。協議会の中で洋上風力発電に関する市民アンケート結果の分析を説明した。

 同アンケートは11月19日発行の当紙1面記事で取り上げた。アンケート対象者は住民記帳台帳から無作為抽出した1008人、そのうち455人(回収率45・1㌫)が回答。調査結果から「気候非常事態宣言」は71㌫が「内容は知らない」と答え、洋上風力発電は「懐疑的、懸念がある」との意見が、肯定的意見の約3倍だったと掲載した。

 本市が導入を進める洋上風力発電について、回答者の約4分の1は「知らない」と回答。今回開催した「市洋上風力発電等導入検討協議会」の存在は、「知らない」は68・1㌫、「聞いたことがある」は20・7㌫、認知度はかなり低いことがアンケートにより分かった。

 協議会公表の分析では、20代の解答率が極端に低く、同発電導入に関する取り組みも、8割以上は「知らない」と答え、認知度も低いという。20代が突出しているとはいえ、全世代でも認知度が低いことに変わりない。

 「どんな内容の事業なのか、市民にどのようなメリットがあるのか、自然環境の影響や景観はどうなるのか」など市民へ伝えられていない部分が多い。「なにやら島の周囲で巨大事業を進めようとしている動きがある」とだけ捉えられてしまっているように思える。結果としてこの不明確さから、アンケートの意見欄には、肯定する市民の3倍もの多くの市民が、同発電導入を「懐疑的、懸念あり」として回答している。

 これまでの市の事業もそうだが、市民に対しての周知や説明が大きく不足しているように思える。かつて大きな議論を呼んだ新庁舎建設、島外業者との数ある連携協定、新施設などで起こる運営の疑念、説明不足ゆえに一方的だと捉えられた補助金削減、行政組織内で起きた事案の責任の所在など。「市民生活を第一に」と言いながら施策を進め、どれほどの市民がその恩恵を感じているのか。

 おそらく同発電導入は、メリットもあればデメリットもある。それでも導入を促進していくのであれば、全市民に向けた周知と説明がなければ足踏みとなる。市民目線で今一度、再考願いたい。