2021.4.13公平公正の中で各自の判断を
市民団体「壱岐の未来」が5日、白川市政に「これまでの政策と判断によって、市民の平穏無事な生活が将来にわたり脅かされていることを鑑み、強く『辞職』を求める」として、白川市長のリコールに向けて動き始めた。
一方、白川市長も同日、同団体が開いた記者会見を受けて会見を開き、「残念でならない。市の発展を考えてやってきた施策を評価してもらえなかったのだろうか」とこれまでの自らを振り返った。
同団体は、市民生活に痛みを伴う行政改革を断行している状況や、昨年比からの大幅減額予算による市民への補助金や市の負担金のカットを訴えた。高齢者や子育て関連、教育分野の予算減額は市民生活にダイレクトに影響する。さらに、公共施設の閉館や解体なども十分な説明がないまま一方的に進められているという。「市長の責任に伴うサービス低下を、市民が真っ先に負う事態となっている」と憤りをみせる。
同団体の財政改革に端を発するリコール理由を受け、白川市長は「大変な苦労と時間をかけて壱岐病院を県病院企業団に加盟し、コロナなどの不足の事態が起きても島外医療と同様の治療を確保した。谷川弥一代議士とともに、国境離島新法による航路航空路料金をJR並みまで低廉化を実現した。昨年のコロナ禍では、8回に渡る緊急経済対策会議を開き、他自治体に先駆けた経済支援策を矢継ぎ早に提案した」とこれまでの実績を挙げた。
双方の考えは、市民目線と行政を担う責務の目線で大きく違い、交わることがないことから同団体はリコールへ向けて動き出すことを決めた。今後、19日にリコール申請を提出し、受理された時点から1か月の期間で署名活動を行う。本市の場合、有権者数の3分の1にあたる約7300人の署名が集まらねばならない。無効や二重署名などを考えれば、8000人は必要かもしれない。署名数が集まった場合には解職すべきかの住民投票が行われ、この場合の解職投票は8月1日の市議選と同時に行われる。
署名活動について、本市のように密な地域社会だからこそ起こり得る出来事に不安の声も上がっている。提出した署名簿を内容確認で市職員が目を通すため、署名したことが市長へ知れるかもしれないという不安だ。市職員は市長の部下にあたることから、状況的にはあり得るかもしれない。しかし、地方自治法では署名者の保護はきちんと守られる。これを破った場合は、法に触れたとして罪に問われる。
同法には、「署名に対して暴行若しくは威力を加えた場合や、署名の自由を妨害、利害関係を利用して署名運動を威迫した場合は罪に罰せられる」とある。当然、署名者の情報が漏れて威圧的な扱いを受けた場合も同様だ。
リコール活動は、選挙同様に民主主義で認められた正当なもの。民意がねじ曲げられることがあってはならない。解職か継続か、公平公正な中で人の言葉に左右されず自らの考えで判断を。当紙も報道の役割のひとつとして、公平公正が保たれ違法がまかり通らぬよう、厳重にチェックしていく。