2024.10.08信頼を取り戻すための努力を
柳田保育所の閉所か存続かに関する問題は、現時点では市議会の採決を経て一定の結論が出た。ただ、前回号でも指摘したように、市による市民への対応や説明不足、虚偽とも取れるような一方的な解釈の押し付けなど、問題点は山積みだ。さらに、市や市長のわかりづらい説明も、市民に不信感を生むと改めて真摯に受け止めるべきだ。
市議会の議決後、篠原一生市長は柳田保育所の一時存続を求めた請願について「請願が採択されたことを真摯に受け止め、これまで説明してきた通り、保護者並びに地域住民に寄り添いながら、柳田・志原保育所の閉所に向けた手続きを進めていく」と述べている。
このような回答だから市民の不信感を生む。先に述べたように市の対応には大きな問題点が山積みだ。この回答でわかることはただ一つ「寄り添いながら」だけである。寄り添うとは一体何なのか。請願を提出した市民は、大いに悩み勇気を振り絞って行動に移したはずだ。それを「寄り添う」のみの回答など、何ら答えていないに等しい。
今回の市議会の条例可決で柳田保育所は閉所になることは確定した。一方で請願には存続を求める旨がある。議会の結果を受け、篠原市長は住民と保護者に寄り添うと言う。しかし、この相反する採決に対して具体的な方針を述べていない。市議会後の市長の答弁にも一切そのことに触れてはいない。
このあいまいな状況から議会終了後、当紙は篠原市長に対しコメントを求めた。「寄り添うとはどう言う意味か。精神論ではなく、明確な回答をすべきではないのか」と問うた。篠原市長は「条例可決により、一次存続の要望は聞けない。ただ、今回の一件を通じて認定こども園の必要性を大きく感じた。請願にもあるように、早急に認定こども園に向けた検討を進めていく。もちろん、それに伴う説明会や対話も行う」と答えた。
認定こども園の必要性は確かにある。ただ、約2年前にこども園計画が頓挫した経緯をよく知らねばならない。未だ「反対派によって計画が潰された」と間違った解釈をする一部議員もいる。今一度、正確な理由を記す。以前のこども園計画は、建設に反対したのではなく、建設地が土砂災害の危険地であることから、場所の変更を求めた。しかし、市もこども園事業者も、一切耳を貸さなかった。この状況が市への不信を生んだ。市議会への不信も同様だ。きちんと仕事をしていれば、間違った解釈など起きるはずはない。
正すべきは正確に正す。今回の閉所も市の不備や間違いは自ら正す。この積み重ねで信頼は生まれる。肝に銘じてもらいたい。