2024.12.03今一度、市民の意思を問う時

 市は、県知事へ市の施策などを記した今年度の要望書を手渡した。今回は12項目の要望内容があり、その中に空港滑走路延長案も含まれていた。これまで数年間にわたり、延長案を要望してはいるが、前知事から大石賢吾知事に続くまで、市が期待するような回答は得られていない。これまでの回答には、「莫大な費用がかかる」「必要となるような就航の見込みがなく難しい」など、明確に否定され続けてきた。

 滑走路延長案は12項目の要望のうち7列目に記され、知事と篠原一生市長との意見交換には含まれなかった。多少のトーンダウンかと篠原市長に問えば「これまでの要望にもあり、実現したい思いはある。調査着手など、一歩踏み出さないと進まない」と意気込みは見せる。結局、同案の意見交換は小金丸益明議長が知事と意見を交わすのみだった。

 小金丸議長は「議会でも議論をしている」と前置きし、「現滑走路は1200㍍だが、これが1500㍍になれば、ほとんどの機種が運航できる。令和8年度までにRESA(滑走路端安全区域)の着工が義務付けられ、同時に滑走路延長が可能なのかの調査検討に着手願いたい。市民は延長を熱望する声が高い。しかし、現在のところ調査研究費もない。現在のままではまったく検討がつかないので、調査をしていただければ市民も納得する」と伝えた。

 大石知事は「これまでの要望にもあり、検討はしている。今後も航空会社との話し合いは継続する。市と情報共有しながら協議したい」と述べた。

 この回答をみても、これまでから大きく前進したとは言えないものだった。政治の世界の話にありがちだが、明確な回答を求めている事柄に対し、「検討する、協議する」は「やらない、しない」に等しいという。国政で言うところの霞が関話法。「言質をとられない言い方、柔軟な解釈が可能で、のちに逃げることができるようなあいまいな話法や文章」だそうだ。いわゆる政治家言葉になる。

 市の思いを継続し伝え続けることは必要であり、否定はしない。ただ、今の国や県の情勢で実現可能か。市民の気運を上げるため延長案実現の期成会を結成しているが、多くの市民が望むことなのか。今一度、全市民に問う機会があってもいいのでは。