2024.9.03一方的な条件で市民参加に制限
市いきいろ子ども未来課課長より柳田地区住民代表者に対し23日、次回説明会について強制的な要求とも受け取れる提案があったことがわかった。
担当課長は「次回は、柳田地区住民と公民館長、保育所保護者関係者のみの出席に限定したい。他地区の公民館長や住民は出席を遠慮願いたい。そうでなければ市長は出席しないと言っている」とし、出席者の制限を求めた。住民代表者は「誰からの要求なのか」と問うと、担当課長は「市長からの提案だ」と伝えた。住民代表者は当紙に対し「そのような要求は聞くわけにはいかない。断固、要求は拒否する」と怒りをあらわにした。
へき地保育所閉所の考え方について、担当課は「これからのあり方として、各町単位のくくりで考えるのではなく、本市を一つの地域として考える」とし、この理念に基づくからこそへき地保育所の統廃合、認定こども園計画を積極的に進めてきたはずだ。
また、篠原市長は自身の選挙公約、就任のあいさつで「市民一人ひとりの思いや希望を聞き、市民のみな様とともに実現していく、市民主役・市民主体の政治が、これからより重要になります。さまざまな人と対話を重ねることで、これまであきらめていたことも実現の道筋を見出していく、それこそが壱岐新時代のリーダーに必要なことだと確信しています」と述べている。
では、市長名で発せられた次回説明会の出席者制限はいったい何なのだろうか。担当課長は「市長からの提案」だと言い切る。地域住民によれば、篠原市長は「先の説明会では発言する住民に偏りがあった。最も意見を聞かねばならない保護者や、小さな声にも耳を傾けねばならない。本来聞くべき声を聞こうと思う」という理由が出席者制限だという。
随分とおかしな判断だ。説明会で広く多くの意見が聞けなかったのは、発言した住民の偏りが理由ではない。当初から説明会の時間を1時間に制限した市や市長にある。事実、説明会後、多くの出席者は時間の足りなさに対して不満を漏らした。筆者が知る限り、発言者の偏りに不満を漏らした出席者は一人もいない。
今回の市長命令が事実ならば、市民との対話を重視した公約と就任時での約束を反故したことになり、壱岐新時代を掲げ、期待を込めた市民に対しての冒涜(ぼうとく)と受け取れる。危惧すべきは市民との意見交換に対し、市は「要求を飲まねば、市長は来ない」と、自分らに都合のいい一方的な条件を提示したこと。この事実を知り、新市政には残念な思いしかない。へき地保育所閉所は、保育所のあり方だけではなく、市政のあり方にもつながる大きな問題だ。