2024.3.26一方的な方針変更ではないか

 市議会の行政報告で白川博一市長は「3月末で渡良・沼津・初山のへき地保育所3園を閉園する。柳田・志原も、来年度末をもって閉園手続きを行うが、志原は入所調整の結果、4月から閉園する」と述べた。

 へき地保育所閉園は、2年前にあった郷ノ浦町認定こども園建設計画にさかのぼる。

 へき地保育所統廃合への動きは、市こども・子育て会議が2014年11月に白川市長に提出した答申に「郷ノ浦町の各へき地保育所は郷ノ浦幼稚園と統合し、幼稚園型認定こども園の設置を検討すべき」とある。一方で「柳田・志原両へき地保育所は、3歳以上児を預かる認定こども園、または認可保育所、定員19人以下の3歳未満児だけを預かる小規模保育施設化も併せて検討すべき」とし、柳田・志原の両保育所は小規模化して残す案があった。

 2022年5月、郷ノ浦町認定こども園建設計画が発覚。市は市民に事前計画を説明しないまま突如、市議会で公表した。同時に初山、志原、渡良、柳田、沼津の5か所の保育所閉園を「在園率の低下、職員の人件費や建物の老朽化など」を理由に公表した。この段階から、答申内容との不一致が始まった。

 同年6月の行政報告では「認定こども園開設が予定され、在園率が低下する。よって郷ノ浦町内へき地保育所5園を2024年3月末までに閉園する」とあり、明確に認定こども園とへき地保育所閉園の関係性が示される。さらに、その条件として「保護者には丁寧な説明を行い、理解を得るよう努める」と述べている。

 当紙2022年8月12日号には、市民の声として「閉園に伴う保護者や住民への説明がない。保護者説明会でも、市は『もう5園の閉園は決まったこと。今さら変更はできない』とあり、保護者らの意向は通らなかった」とあった。同年9月、一部の市議が保護者33人へ「へき地保育所閉園についてのアンケート」を実施。無回答を除き、閉園に賛成3人、反対20人と閉園反対の考えが多数を占めた。

 同月、市民団体は白川市長と意見を交わした。当時、白川市長は「認定こども園とへき地保育所は別問題」と返答を変えた。同年10月、当時の市子ども家庭課は、市こども・子育て会議で「認定こども園の開園から1年後に柳田・志原の保育所を閉園」と時期を示し、この決定は「2014年の答申を尊重した」という。答申の解釈変更についての説明は一切なかった。

 昨年3月、認定こども園計画は事業者の判断で中止となった。当初の市の発言に沿うならば「認定こども園開設で、柳田・志原の保育所は閉園」の案は崩れたはずだ。

 この経緯から思う。当初は認定こども園とへき地保育所閉園の関係性を述べながら、なぜ、途中から別問題だと発言を変えたのか。人口減の中、いずれ全へき地保育所の閉園が来ることはやむを得ないかもしれない。しかし、方針の一方的変更は許されない。今一度、事実と発言の検証をすべきだ。