2024.12.17イルカに依存しない新たな施設案を
市政の方針を問う定例記者会見が4日、勝本庁舎であった。今回の市議会に提出した議案に沿う質問のみ可能ということだが、公の施設の指定管理者の項目に、イルカパークがあったことから、関連事項として篠原一生市長に質問した。
イルカパークの運営や施設の今後については、これまでにも多くの市民から意見があり、興味深い項目だ。ただ、1項目に2回までの質問という限られた質問回数であり、深い追及はできなかったが、おおむね、方針だけは聞けた。
同施設のリニューアル後、これまでに7頭のイルカが死亡したことから、市はイルカパーク管理・環境等検討委員会を開いた。この検証と結果を踏まえた将来的なあり方やプランは、もっとも気になる部分になる。
検討委員会は、硫化水素など水質の問題や冬場の海水温の低下、大雨による塩分の低下などが死因に関係する可能性があると仮説を立てた。その仮説から記者は「循環の問題を鑑みて、普通に考えればイルカの飼育環境にあまり適さないのではないか。検討委員会の見解もそのように受け取れる。その改善として、施設内の海水と外洋との環境差をなくすこと、水温管理などのため海底の底上げなどの改修工事が必要になる。このことは、今後、さらに改修のための予算がかかることになるのではないか」と意見し、市の今後の方針を問うた。
篠原市長は「検討委員会の答申を受け、課題はクリアになったと思う。しかし、改修するとなれば、かなりの費用となる。答申で指摘のあった改修の一部はやらなければならないと思うが、私の考えとして、すべての改修工事を行う考えはない。市民の中には、イルカ飼育を止めてしまえば良いとの意見もあるが、市の観光の施設であり波及効果もある。
将来的にはイルカだけに頼らない施設など、市としても検討していきたい。少々、時間をかけてやっていかなければならない」と答えた。
この回答に、記者は「検討委員会が出した内容は、これまでのようにイルカを死なせない対策の検討だった。しかし、現状のままでは今後も死ぬことがあると危惧する。
市長は観光や諸々の波及効果があると言うが、今後もイルカが死んでしまえばイルカが死ぬ島というマイナス面も起きてしまう。市では、新たな市総合計画を策定中だが、市民の声を求めたパブリックコメントにも、イルカに依存しないような施設にしてはどうかなどの意見がある。
市民はイルカの死を危惧している。今後の施設のあり方、イルカの飼育に適する改修が可能なのかを早急に決めねばならない時期にある。予算の関係で改修ができなければ、再びイルカの死は続く」と再び問うた。
これについて篠原市長は「方向性やあり方をもう一度、考え直す時期だとは思う。だからこそ指定管理者の期限を1年伸ばした。イルカだけに頼らず、他の価値を追加する施設というのが、現在の私の考えになる。しかし、イルカパークを閉じるなどは考えていない。思いつきではなく、総合的にビジネス的な面も含めて考えていかなければならない」と答えた。
市議会などとは違い、記者会見での質問という変則的な質疑応答にはなるが、篠原市長からは施設のあり方を「もう一度、考え直す時期。イルカに依存しない新たな価値を加えた施設に」との回答を得た。ならば、市としては早急に方針を決め行動せねば、理不尽なイルカの死は続くままだ。