2023.6.20これが第三者委員会だったのか

 先月27日、「離島留学・いきっこ留学検討部会」の第1回会議が開かれ、7日、第2回目の部会があった。前号の社説でも記したが、「プライバシーに関する情報を取り扱う」「県の指示」の理由から、非公開で行われた。

 1回目の部会を傍聴してわかったことは、県が主導している離島留学制度の検証がメインであり、市の「いきっこ留学」は「おまけ」程度で扱われた。県の検討委員会や市で行う部会は「離島留学制度の今後の継続」が大前提にあり、その目的に沿った話し合いでしか成立しないのであろう。

 離島留学生の死亡事案を受け、本市は3月30日に総合教育会議を開いた。白川博一市長は「自己評価ではなく、外部からの検証は必要。第三者委員会を立ち上げる」と明言した。この言葉の意味は、同制度の検証と共に、死亡事案の検証も含まれるものと理解していた。しかし、実際はどうなのか。

 県による「これからの離島留学検討委員会」が先導し、市長が言う「第三者委員会の立ち上げ」はどうなのか。「いきっこ留学制度」の検証は県の制度に便乗したことで、役割を果たしていると考えているのか。そもそも部会は「外部による第三者委員会」となっているのか。部会の委員を見て思うが「否」だ。どこからどう見ても身内感の印象が強い。

 県と市で検証を進めている委員会とは別に、南島原市の市民団体「子どもの未来応援実行委員会」が「民間でできることを考えたい」として先月16日、長崎市で集会を開いた。壱岐支部としては武原由里子議員が事務局を務め、16日に壱岐の島ホールで第2回の集会を開く。

 県と市の委員会、市民団体による集会を傍聴し、あることに気が付く。県が作成した委員会資料は、地域や学校の対応、里親の研修やホームステイ先の改修や補助などの支援体制作りの意見が交わされる。一方で、市民団体は「子どもの環境」「子どもの命や人権」など、「子ども」を主とした意見が多い。

 武原議員は「部会は非公表。いきっこ留学制度の検証も現状ではわからない。まずは、子どものことを第一に考えた検証でなければならない」という。

 どちらが正論かは問わないが、対極にある会だということは傍聴した当紙でもわかる。