2018.12.11利用者目線の協議を求む(市ケーブルテレビ業務移行)
市ケーブルテレビの指定管理者に関する業務移行が、予想を大きく上回るほどの難航ぶりだ。市民をはじめ自営業者や企業など、市ケーブルテレビのIP電話やIPアドレスの使用は数千人の市民が利用している。そのサービスの恩恵は今や計り知れない。問題はこれらサービスの業務移行がスムーズにいかなかった場合、使用不可となり利用者には多大な影響を及ぼす。
指定管理者指定は今年9月に行われ、新年度に向けて本来ならば準備が進行していなければならない。しかし師走のこの時期に、未だ明確な協議すら進行していない。市と壱岐ビジョンは3日に代理人を交えての協議を開催した。この中で、指定管理者業務に関する協定書の解釈や、壱岐ビジョンが構築してきた知的財産権やIP電話やIPアドレスに関する管理会社独自の投資分、また契約者の個人データの扱いなど、法的にクリアせねばならない問題が浮き彫りになった。双方の代理人は利用者に迷惑がかからぬようとの共通意識はあるが、話し合いは解決には至らなかった。
ここで気になることが一つある。指定管理者選定委員会の判断から、市議会定例会9月会議での付託を受けた産業建設常任委員会は全会一致で採択した。本会議も同様に全会一致の可決だった。この時の委員会審議で、壱岐ビジョンの従業員雇用はどうなるのかや、住民サービスの低下にならないのかなどの意見があった。また取材陣から「現在使用のアドレス等や電話はどうなるのか。そのまま使えるのか」との質問があり、市は「期間は未定だが1年間の移行期間を設けるなどの猶予がある。その間に移行を願いたい。雇用は壱岐ビジョン社員を出来るだけ優先する」と答えている。
しかし市議会9月会議時の段階で、新旧指定管理者による移行に関する協議や雇用についてなどの協議は行われていない。現時点の状況を見てわかるが、行われていなかったからこそ、この時期になってもなお道筋が見えないのだ。
9月会議時の段階で、執行部側の政策企画課は何の根拠があって「移行期間」や「再雇用」の発言をしたのだろうか。新旧指定管理者の考えや確認もなしに、憶測だけで常任委員会の採択に関わる場あたり的な発言をしてはいまいか。もしもそうならば、新旧指定管理者、常任委員会、利用者である市民に対して、あまりにも安易すぎる発言となりはしないか。
新年度までに移行がスムーズにいかない時の最悪の想定では、電話は使えない、インターネットやアドレスは使えない、テレビは見られない等と、市民の日常生活に及ぼす被害は計り知れない。 また新指定管理者による新サービスが開始すれば、アドレス変更などで島内企業はホームページや名刺、印刷物などの作り変えを余儀なくされ、誰もが想定外であろう多大な経費が必要となる。これらのどこに市民の利便性やサービス向上があるのか。市政運営のツケを市民に被せる事だけは勘弁願いたい。それとも必要経費は市が負担してくれるのか。(大野英治)